2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18370056
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牟田 達史 東北大学, 大学院生命科学研究科, 教授 (60222337)
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Keywords | 発現制御 / 遺伝子 / 感染症 / 免疫学 / シグナル伝達 / 転写制御 / 自然免疫 / 発現誘導 |
Research Abstract |
IκB-ζは、Toll様受容体(TLR)やインターロイキン(IL)-1受容体の刺激に伴って発現誘導され、核内でnuclear factor(NF)-κBと相互作用する。我々の近年の解析の結果、IκB-ζは刺激に伴うIL-6に代表される一群の炎症性遺伝子の発現に必須である一方、tumor necrosis factor(TNF)-αのような別の遺伝子群の発現を抑制することが示されている。本研究では、IκB-ζの異なる転写制御における機能の決定機構について解析を行った。我々は、IκB-ζとNF-κBの共発現が協調的にhuman β-defensin 2(hBD-2)やneutrophil gelatinase-assoiated lipocalin(NGAL)遺伝子の転写を活性化するが、IκB-ζの発現は、NF-κBによるE-Selectinの発現に抑制的にはたらくことを見出した。詳細なプロモーター解析の結果、NF-κB結合配列のほか、隣接するCCAAT/enhancer-binding protein(C/EBP)結合配列がIκB-ζによる転写活性化に必須であった。NF-κB結合配列とC/EBP結合配列をもつ人工的なプロモーターに対してIκB-ζの転写活性化作用がみられたことから、この二つの配列がIκB-ζ依存性の転写活性化に必要な最小単位であることが判明した。染色体沈降アッセイや遺伝子ノックダウン実験により、IκB-ζとNF-κBは共に、IL-1β刺激に伴ってNGAL遺伝子プロモーターに会合すること、両者は共に刺激に伴うhBD-2及びNGAL遺伝子の発現誘導に必須であることが明らかになった。従って、自然免疫刺激時に、IκB-ζは、NF-κBと複合体を形成して、NF-κBとC/EBP結合配列をもつ遺伝子プロモーターの転写を活性化する必須の因子として機能していることが明らかになった。
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