2007 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体およびゴルジ装置のカチオンポンプ作動機構とその破綻による病態
Project/Area Number |
18370058
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
鈴木 裕 Asahikawa Medical College, 医学部, 教授 (50183421)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大保 貴嗣 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (90207267)
山崎 和生 旭川医科大学, 医学部, 助教 (60241428)
|
Keywords | Ca^<2+>ポンプ / 小胞体 / リン酸化中間体 / 構造アナログ / ATP分解 / エネルギー共役 / 能動輸送 / 機能ドメイン |
Research Abstract |
部位特異的変異と速度論的解析を実施して、小胞体Ca<2+>ポンプリン酸化中間体(EP)の構造異性化に共役した小胞体内腔へのCa<2+>放出には、Actuatorドメインと第1膜貫通ヘリックスを繋ぐA/M1リンカーの長さが適切であることが必須であることを発見した。そしてアミノ酸挿入によりこのリンカーを長くすると、EPの構造異性化(すなわちADP感受型(E1PCa_2)からADP非感受型(E2PCa_2)への異性化)はむしろ促進されるが、形成したE2PCa_2からのCa<2+>放出は完全に阻害されていること、E2PCa_2ではActuatorドメインとPhosphorylationドメインの間の疎水的相互作用(Tyr<122>-hydrophpbic cluster)の形成は不完全であることを明らかにした。そしてA/M1リンカーが適切な長さである野生型では、ActuatorドメインとPhosphorylationドメインがおそらくさらに動くことによって両者の間にTyr<122>-hydrophpbic clusterが形成されCa<2+>放出ゲートが開くであろうことを明らかにした。これらの成果により、これまでその存在が推定されていただけであった中間体E2PCa_2を始めて同定・捕捉することに成功し、Ca<2+>輸送機構解明の新たな展開を可能とした。さらに、Tyr<122>-hydrophpbic cluster形成がいかにしてCa<2+>放出を引き起こすか、その仕組みを部位特異的変異により解析した。これらの成果によりCa<2+>輸送におけるエネルギー共役の本質を明らかにした。 他方現在、E1PCa_2の安定な構造アナログを開発すること、その特性を明らかにすることに成功し、リン酸化中間体の構造異性化とCa<2+>放出の間の共役機構の構造的解明を可能とした。
|