2007 Fiscal Year Annual Research Report
電子状態計算と分子構造探索計算の連成による生体高分子の自由エネルギーの理論的研究
Project/Area Number |
18370063
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 春木 Osaka University, 蛋白質研究所, 教授 (80134485)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米澤 康滋 大阪大学, 蛋白質研究所, 特任研究員 (40248753)
鷹野 優 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (30403017)
大島 勘二 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任助教 (40437330)
|
Keywords | 生物物理 / 酵素反応 / 生体分子 / 量子化学 / 分子動力学 / 分子シミュレーション / 電子状態 / 反応自由エネルギー |
Research Abstract |
(i)昨年度までに開発した、非経験的電子状態計算(QM)と分子力学計算(MM)を連成した高並列プログラムを用いて、プロリンのcis-trans異性化酵素Pinl蛋白質のプロリン異性化に伴う反応自由エネルギーを計算した。まず予備計算としてAce-Pro-Nmeが水中にある系に関して、アンブレラポテンシャル法でMMシミュレーション及びQM/MMシミュレーション(ペプチドのみ基底関数4-31Gを用いたHF計算)を高並列計算で実施し、アンブレラ積分法によって精密な反応自由エネルギーを得た。次に、2007年に新たに発表されたPinl蛋白質と基質の複合体のX線結晶構造を基に、実験的にPinlによる高活性が示されているAce-Ala-pSer-Pro-Tyr-pNAをリガンドとしてPinlとの複合体をモデリングし、QM/MMシミュレーションを実施した。 (ii)薬剤開発において近年着目されているプロドラッグは、既知の代謝・分解経路に対して適切な化学修飾を行うことが重要である。そのようななか、化学修飾としてエステル基を用いたプロドラッグが注目されている。その際、エステル分解酵素に対する安定性な化学修飾を考える必要がある。そこで、本年度は分子軌道法を用いてエステル加水分解反応の置換基効果を調べた。その結果、シクロプロピオン酸エステルが他のエステルと比較して中間体からのアルコールとカルボン酸イオンに分解する反応において高い活性化エネルギーを示すことが明らかとなった。これはシクロプロピオン酸エステルのカルボニル基がシクロプロパン基と超共役することにより高い安定性が得られたためと考えられる。
|
Research Products
(25 results)