2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規tRNA-タンパク質複合体の探索と機能解析-tRNAの一生の全貌解明に向けて
Project/Area Number |
18370069
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉久 徹 Nagoya University, 物質科学国際研究センター, 准教授 (60212312)
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Keywords | 核酸 / 細胞内局在 / RNA-タンパク質複合体 / 生合成 / 微生物 / tRNA |
Research Abstract |
本年度は新規tRNA結合因子の探索で同定されたHsp70タンパク質Ssa2pを中心に、研究を展開した。 1 tRNA結合タンパク質として同定されたSsa2pは、その欠失変異のin vivoでの解析から、栄養飢餓時のtRNAの核内輸送に関わることが明らかとなっている。我々は今回、Ssa2pが直接tRNAを結合する能力を持つこと、in vitro転写したtRNAも酵母から精製したtRNAもいずれもが結合すること、その結合はATP感受性であるがSsaタンパク質の既知の基質である変性タンパク質とは競合しないこと、を組換えタンパク質を用いたin vitro解析から明らかにした。さらに、アンチセンスDNAとのハイブリダイズなどtRNAの高次構造を壊すような条件下では、tRNAとSsaタンパク質との結合が低下することを明らかにした。以上のことから、Ssa2pは様々なtRNAを特異的に認識し、その核内輸送に関わる輸送担体であることがわかった。 2 Ssa2pが輸送担体であるとすれば、細胞質のHsp70に対するコシャペロンもtRNAの輸送に関わ可能性がある。事実、細胞質の主要なDnaJホモログであるSislpおよびYdjlpに欠損のある酵母は、いずれも栄養飢餓時のtRNAの核内蓄積に異常を示すことを見出した。 3 tRNAの細胞内動態におけるtRNA自身の側の特性を明らかにする目的で、特定のtRNAの遺伝子について全ての重複遺伝子からイントロンを欠失させた株の構築をすすめた。このうち、tRNA-Ile^<UAU>では、そのイントロンを全ての重複遺伝子から欠失させても生育に問題はなかったが、イントロン欠失遺伝子から転写されたtRNA-Ile^<UAU>は、核内に蓄積する傾向の強いことがわかった。
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Research Products
(6 results)