2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18370084
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
水島 昇 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10353434)
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Keywords | オートファジー / インスリン / 糖尿病 / アミノ酸 / mTOR |
Research Abstract |
本課題ではオートファジーによる細胞内分解がどのように制御されるかについて、特に内分泌系に注目して解析を行うことを目的としている。 まず生体内でのオートファジーの生理的な制御機構を解析する目的で、栄養のマスターレギュレーターとして知られるタンパク質キナーゼmTORについて研究を行った。栄養飢餓時のmTORの不活性化を各臓器で調べたところ、心臓や骨格筋は12-24時間でmTORが不活性化されるのに対し、肝では6時間と早く、反対に脳ではまったく不活性かされないという臓器によって異なる結果が得られた。興味深いことに、これらのmTOR不活性化のタイミングはオートファジーの開始と非常に良く相関しており、実際生体内でもmTORがオートファジー制御に中心的役割を担っている可能性が示唆された。そこでmTORの上流因子としてインスリンの役割を次に調べた。低インスリン血症モデルとして、ストレプトゾシン誘導性I型糖尿病モデルを作製したところ、摂食しているにもかかわらずインスリン低下に伴ってオートファジーが肝、心、骨格筋で誘導された。このオートファジーはインスリン投与によって一部抑制された。従って、インスリンが生体内においても主要なオートファジー抑制因子であることが示された。しかしながら、このインスリン分泌不全マウスであっても、飢餓によってさらにオートファジーが誘導されるという興味深い現象が観察された。すなわち、インスリン以外にも生理的なオートファジー制御因子が存在することが示唆された。
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