2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ網膜における層構造形成のメカニズムの解明
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18370092
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
政井 一郎 独立行政法人理化学研究所, 独立主幹研究プログラム, 客員主管研究員 (50242087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 雅裕 独立行政法人理化学研究所, 独立主幹研究プログラム, 客員研究員 (00360660)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 網膜 / 細胞接着 / 細胞極性 / 細胞増殖 / 神経細胞分化 / N-cadherin / 突然変異体 |
Research Abstract |
脊椎動物の網膜には、6種類の神経細胞が分化し層構造を形成する。我々の研究から、ゼブラフィッシュの突然変異体parachute (pac)では、網膜神経細胞は分化するが層構造が形成できないこと、そしてpac遺伝子はN-cadherinをコードすることが明らかになった。N-cadherinは細胞どうしを接着させる機能を担う膜蛋白質である。我々は、ゼブラフィッシュのpac変異体の解析することで、N-cadherinが、網膜分化の様々なステップに関わることを見出した。 本研究では、N-cadherinの網膜での役割をより明確にするために、網膜前駆細胞のみでN-cadherinの機能を欠損したゼブラフィッシュ個体を作製している。具体的には、pac変異体に網膜神経細胞でN-cadherinを発現させたゼブラフィッシュ系統を作製する。今年度は、網膜神経細胞で発現を誘導するエンハンサーの下流にGAL4-VP16をつなげたコンストラクトとUASにN-cadherinをつなげたコンストラクトを作製した。現在、これらのコンストラクトをゲノムに組み込んだトランスジェニック系統を作製中である。今後、トランスジェニック系統をpac変異体に交配して、上記の個体を作製する。 ゼブラフィッシュでは網膜における細胞接着および極性に関わる変異体として、上記のpacの他、nagie oko (nok), oko meduzy (ome)が知られている。nokとomeは接着帯形成に必要なStardustとCrumbsをコードする。今年度、我々はこれらの3系統について解析した結果、網膜での神経回路形成以外に、細胞増殖が亢進していることを見出した。多くの癌では細胞極性が異常になっており、細胞極性と増殖の関係は重要なテーマである。現在、これらの変異体の網膜における、増殖分化を制御するシグナル経路について調べている。
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