2006 Fiscal Year Annual Research Report
劣性致死変異体を用いた包括的な初期胚発生分子機序の解析
Project/Area Number |
18370094
|
Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Maternal and Child Health |
Principal Investigator |
松尾 勲 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), 病因病態部門, 部長 (10264285)
|
Keywords | マウス / 遺伝学 / 劣性致死変異 / へパラン硫酸鎖 / プロテオグリカン / Ext2 / 胚体外外胚葉 / 発生 |
Research Abstract |
1、トランスジーン挿入によって胚性致死変異を示す新規マウス劣性変異体を得た。得られた変異体の表現型の浸透度を調べたところ、ほぼメンデル率に沿って、表現型が認められた。トランスジーン挿入部位を同定するため、染色体FISH法を行ったところ、第2番染色体上に1箇所導入されていた。インパースPCR法により、挿入箇所の塩基配列を決定したところ、トランスジーンはExt2遺伝子のイントロンに挿入されていた。実際、ホモ変異胚においては、Ext2遺伝子のmRNA及びタンパク質とも、失われていた。更に、Ext2は、生化学的にヘパラン硫酸鎖の重合に働いているが、ホモ変異胚では、プロテオグリカンのヘパラン硫酸鎖付加に異常が見られた。次に、Ext2欠損が胚性致死の原因であるか検討するため、Ext2遺伝子のcDNAのみを発現するトランスジェニックマウスを作成したところ、ホモ変異体でもExt2を発現させると、正常に発生し、成長することが分かった。以上の結果から、今回得られた、劣性致死変異の原因遺伝子は、Ext2遺伝子であることが強く示唆された。2、Ext2ホモ変異胚の表現型を、組織切片レベルで解析したところ、変異体では、胚性6日目までには、異常がみとめられ、10日目まで、致死となることが分かった。特に、胚体外外胚葉、中胚葉に顕著な形成不全が見られた。更に、領域特異的な各種分子マーカーを用いて詳細に解析したところ、胚体外外胚葉領域が全く形成されていないこと、中胚葉は形成され、epithelial mesenchymal transitionも起こるが、脱上皮化した細胞が、適切に移動出来ないこと、後方神経上皮が全く誘導されないこと等が明らかになった。一方、ホモ変異胚において、エピブラスト、臓側内胚葉、前方中内胚葉、前方神経上皮などは、ある程度正常に形成されていた。
|