2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18370095
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鹿毛 利枝子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (10362807)
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Keywords | 参加 / 市民社会 / 非営利部門 / 戦争効果 / 世代 |
Research Abstract |
本研究は、日本における非営利団体参加の特徴を探る。アメリカでは近年、ロバート・パットナムらの論者によって、若年層における参加率の低下が指摘され、その原因を巡り活発な論争が展開されている。わが国でも戦後比較的早い時期から、中高年世代の方が若年層に比較して高い率で非営利分野に参加することが指摘されてきたが、その原因の究明に正面から取り組んだ研究は少ない。わが国の非営利団体参加における世代格差には、どのような特徴が見られるのか。それは戦後、どのように変化してきたのか、その要因は何か。 これらの問いに比較の観点からこたえるため、本研究においては、戦後実施されてきた、さまざまなサーヴェイ・データを収集し、世代間の格差を探る作業を行った。その結果、「第二次世界大戦経験世代」と「戦前世代」の間には、日本のみならず、多くの先進諸国において、参加水準に顕著な差があることが判明した。次に、両世代の参加水準の差を規定する要因を探るため、(1)第二次世界大戦の経験、(2)福祉国家・福祉政策の態様、(3)社会経済的要因、の3つの要因に注目して、分権の読み込みを行った。その結果、戦時経験がその時期に若年期を過ごした世代の参加行動に顕著な影響を及ぼす可能性が示唆された。この仮説をさらに検証するため、計量分析を通して検証を行った。 従来の研究においては、戦争に「勝利」した国においては参加率が上昇し、「敗北」した国においては低下するものとされてきた。本研究の知見が正しければ、参加率は戦争の「勝敗」によって決まるものではなく、むしろその「経験」が重要であるということになる。
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