2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18370096
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野中 勝 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (40115259)
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Keywords | 進化 / 免疫学 / 遺伝子 / 補体系 / ヤツメウナギ / ネマトステラ |
Research Abstract |
公開された刺胞動物ネマトステラのゲノムデータから、ブラストサーチにより得られた部分配列を元にRACE-PCRを行い、補体C3・B因子・MASP遺伝子の完全長配列を決定し、RT-PCRにより発現を確認した。これまで刺胞動物からはC3のみが知られており、MASPは後口動物からのみ、B因子は後口動物とカブトガニから確認されていたのみであったので、この結果は複数の成分からなる補体系の起源の古さを大幅に更新したことになる。これらの遺伝子から推定されるアミノ酸配列を哺乳類の対応する補体系因子と比較すると、病原体のオプソニン化に必要なチオエステル結合部位など、補体系の活性に関わる重要なアミノ酸残基を全て保持しており、哺乳類補体系因子と基本的に同様な働きをしている可能性の高いことが確認された。また、分子系統解析の結果から、これらが最も進化的分岐の古い、原始的な補体系遺伝子であることが示された。さらに約10,000クローンのヤツメウナギ肝臓EST解析を行い、得られた補体系遺伝子配列に対して、分子系統解析およびヒト補体系遺伝子配列との相同性の比較を行った。その結果、ほ乳類で遺伝子重複とその後の機能分化により生じたと考えられるファミリーを形成する補体成分に対しては、祖先系と考えられる遺伝子のみが確認され、これらの遺伝子重複/機能分化は有顎脊椎動物の系統で円口類の分岐以降に生じたことが示唆された。また、軟骨魚類より分岐の古い動物から初めてI因子遺伝子を単離した。従って、顕著なドメイン構造を示す補体遺伝子のうち、C3・B因子・MASPファミリーは刺胞動物と二胚葉動物の分岐以前に、TCCファミリーは円口類の分岐以降・軟骨魚類の分岐以前に、I因子は尾索動物の分岐以降・円口類の分岐以前に起源をもつことが示唆された。
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[Journal Article] Expression patterns of Hox genes in larvae of the sea lily Metacrinus rotundus2006
Author(s)
Hara, Y., Yamaguchi, M., Akasaka, K., Nakano, H., Nonaka, M., Amemiya,S.
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Journal Title
Dev. Genes Evol. 216
Pages: 797-809
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[Journal Article] The DNA sequence of medaka chromosome LG222006
Author(s)
sasaki, T., Shimizu, A., ishikawa, S.K., Imai, S., Asakawa, S., Murayama, Y., Khorasani, M.Z., Mitani, H., Furutani-Seiki, M., Kondoh, H., Nanda, T., Schmid, M., Scharti, M, Nonaka, M., Takeda, H, Hori, H., Himmelbauer, H., Shima, A., Shimizu,N.
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Journal Title
Genomics 89
Pages: 124-133
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