2009 Fiscal Year Annual Research Report
都市化社会において食行動の変容によって発現される機能的潜在性に関する研究
Project/Area Number |
18370101
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 晴信 Kobe University, 人間発達環境学研究科, 准教授 (10322140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 哲也 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (60082989)
川畑 徹朗 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (50134416)
甲田 勝康 近畿大学, 医学部, 准教授 (60273182)
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Keywords | 自律神経 / 心血管応答 / 食事 |
Research Abstract |
本年度は、健常人における急性期の野菜錠剤摂取後の自律神経活動と非侵襲血流力学の生理的影響を検討した。栄養所要量が統制された野菜錠剤とコントロール錠剤を用いて、二重盲検法により、野菜・コントロール錠剤摂取前後における自律神経反応への影響について検討した。実験の結果、コントロール錠剤グループは、錠剤摂取後に有意に心拍数(HR)と心拍変動のLF成分(交感神経活動と副交感神経活動を両方とも含む)、交感神経活動の指標としてのsympathovagal balance(LF/HF割合)が上昇した。一方野菜錠剤グループには、このような変化は観察されなかった。さらに両錠剤摂取後のHF成分は、錠剤摂取後徐々に上昇し、その後、基準レベルに戻ってきたことが観察された。そこで、今回得られた結果について、野菜の栄養成分と自律神経活動との間で考えられる可能性を鑑みると、一つは、この研究で使用した野菜成分には、ビタミンE、マグネシウム、カルシウムが含まれており、それらの栄養成分が自律神経系の活動に作用していたという可能性である。二つ目は、この研究で使用した野菜成分には、他の野菜と比べて非常に多くのGABA(γーアミノ酪酸)が含まれており、ヒトでのGABA摂取が自律神経系の間接的な関与によって血圧を低下させるということである。これらの理由より両錠剤摂取後に副交感神経活動の指標であるHF成分の差はないが、野菜錠剤摂取グループにおいて交感神経活動指標であるLF/HF割合が抑制を示していたことより、野菜錠剤摂取に伴って交感神経活動の指標であるsympathovagal balance(LF/HF割合)が抑制され、鎮静効果を示した結果であると考えられた。収縮期血圧、平均血圧、拡張期血圧、一回拍出量、心拍出量、総末梢血管抵抗については、野菜錠剤とプラセボ錠剤の摂取後において有意な交互作用を示さなかった。
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