2008 Fiscal Year Annual Research Report
Operational RNA Codeとリボスイッチから見た遺伝暗号の起源
Project/Area Number |
18379001
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田村 浩二 Tokyo University of Science, 基礎工学部, 准教授 (30271547)
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Keywords | 生命の起源 / 遺伝暗号 / 進化 |
Research Abstract |
本研究は遺伝暗号(アミノ酸とRNA)の対応関係がどのようにして成立してきたのかを明らかにすることを目的としている。Operational RNA Codeは、「コドン表」に代表される普遍遺伝暗号に先立って成立したと考えられる。Operational RNA Codeの典型的な例であるtRNA^<Ala>に存在するG-Uウォブル塩基対の認識メカニズム成立を解明するために、本年度は最小のゲノムサイズを持つ古細菌ナノアーキア(Nanoarchaeum equitans)のアラニルtRNA合成酵素(AlaRS)によるアミノアシル化過程を解析した。また、AlaとG-U塩基対の対応の直接的な必然性に対する知見は皆無であるが、Alaとオリゴヌクレオチド中に含まれるG-U塩基対の直接の相互作用を示唆するデータを得た。特に、本年度は、汎用性を生み出す立場から、Alaを蛍光ラベルすることによって、相互作用を検出することができるかについて条件検討を行った。一方、グリシンリボスイッチはGlyを認識した時、Glyを分解する酵素の遺伝子の発現を開始するものである。グリシンリボスイッチの機能形態は、進化の初期のtRNAと類似している考え、現在の生物に痕跡として残っている「実在する」RNAが、原始tRNAとして機能していたのではないかという仮説の実験的検証を試みている。GlyRSによるtRNA^(Gly)のアミノアシル化反応の中間体であるGly-AMPとグリシンリボスイッチを反応させた、グリシンリボスイッチそのものを用いた場合、自己アミノアシル化は成し遂げられなかったが、ランダム配列を導入したin vitro selection法を用いることによって、アミノアシル化が起こり、その配列は2つのグループに収束し、1つはtRNAに酷似した構造を取ることが分かった。
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