2007 Fiscal Year Annual Research Report
ソバ二花柱型自家不和合性の分子機構の解明とその進化学的解析
Project/Area Number |
18380006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安井 康夫 Kyoto University, 農学研究科, 助教 (70293917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大田 竜也 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (30322100)
森 正之 石川県立大学, 生物資源工学研究所, 准教授 (00320911)
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Keywords | 二花柱型自家不和合性 / 他殖性 / 自殖ソバ / ポジショナルクローニング / 生殖様式 |
Research Abstract |
(1)マッピングとゲノミックウォーキング:本年度は1400個体からなる分離集団を作成し、total DNAを抽出した。すでに作成していた集団を合わせると、合計7500個体の分離集団となった。この分離集団を用い、S遺伝子を2つのAFLPマーカーの間(0.04cM)に限定することができた。さらにこれらのマーカーからゲノミックウォーキングを進め、19個のBACからなるコンティグの作成を行った。また次世代シークエンサー(Solexaシークエンサー)を利用し、これらの19個のBACクローンの塩基配列を解読したところ、少なくとも6つの遺伝子が存在することが分かった。これら6つの遺伝子のうち3つは花器官で転写されていることがRT-PCRにより示された。 これらの結果からこれらの3遺伝子はS遺伝子本体であるか、もしくはその関連遺伝子である可能性が高いと考えられる。 (2)cDNAライブラリーの作成:短柱花および長柱花の雌しべからRNAを抽出し、cDNAライブラリーの作成を行った。このcDNAライブラリーを用いることにより、短柱花もしくは長柱花の雌しべで特異的に発現している遺伝子のスクリーニングが可能となった。 (3)cDNA-AFLPによるS遺伝子のスクリーニング:cDNA-AFLPを用いて長柱花の雌しべと短柱花の雌しべ間で転写量に差があるcDNAのスクリーニングを行った。総計約6400本のDNA断片が検出され、このうち9断片で短柱花に強いシグナルが見られた。これらのDNA断片の内部配列を用いてRT-PCRを行ったところ、2組のプライマーでは短柱花に強いシグナルが見られた。これらの2つの遺伝子は細胞壁の合成とペクチン分解に関与する遺伝子であり、花柱の成長や花粉管伸長の阻害などを担っている可能性がある。今後、マッピングを行いS遺伝子との連鎖関係を調査する必要がある。
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Research Products
(4 results)