2008 Fiscal Year Annual Research Report
冬生一年生雑草の生活環を制御する種子温度応答機構に関するエコ・デボ・エボ研究
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18380010
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
吉岡 俊人 Fukui Prefectural University, 生物資源学部, 准教授 (10240243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
露崎 浩 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (20217384)
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Keywords | 冬生1年生雑草 / 生活史制御 / 生態発生進化 / 種子発芽 / 未発芽種子バーナリゼーション / バーナリゼーション遺伝子 / 種子温湯消毒 / 水稲種子耐熱性強化 |
Research Abstract |
真性冬生一年草と可変性冬生一年草の生活史進化の鍵となる環象が未発芽種子バーナリゼーション(PGSV)と高温発芽阻害である。本年度は、(1)PGSV候補遺伝子の単離と解析について研究を実施した。また、種子高温発芽阻害機構の知見を応用して、(2)作物の種子発芽時のストレス耐性を強化する種子処理技術創出を試みた。 (1)PGSV候補遺伝子の単離と機能解析 ヒメムカシヨモギの種子中でPGSVの誘導時に発現増加し、かつPGSVの解除時に発現減少する遺伝子(ILS1)を単離し、PGSV候補遺伝子とした。可変性冬生一年草であるヒメムカシヨモギは、PGSVと緑植物バーナリゼーションの両方の性質をもつ。一方、本種に近縁な真性冬生一年草のオオアレチノギクは、緑植物バーナリゼーションの性質はもつが、PGSVの性質をもたない。したがって、ヒメムカシヨモギとオオアレチノギクの種子について低温による遺伝子発現を解析すれば、その遺伝子がPGSVに特異的かどうかを推定できる。そこでILS1の発現をリアルタイムPCRによって解析したところ、残念ながら、PGSV特異的遺伝子の推定発現パターンとは異なった。 今後、ヒメムカシヨモギ種子から網羅的に単離した60遺伝子について、順次、上記の発現解析を実施する予定である。 (2)種子温度応答機構の作物学への応用研究 本研究の中で明らかになった種子発芽の温度応答性制御機構の知見を応用して、イネ種子の温湯消毒時の耐熱性を強化する技術の創出を試みた。その結果、イネ種子に適切な水ストレスと熱ストレスを与えて乾燥させることで、温湯消毒時の耐熱性を2〜3℃強化することができた。水稲種子伝染性病害を完全に防除するためには、種子を浸漬する湯温度を現在の60℃から63℃に上げることが望ましい。本処理方法によってその耐熱性強化目標を達成できる可能性が見出された。
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Research Products
(5 results)