2006 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体自然存在比を利用した作物のシンク機能・生理ストレスの解析
Project/Area Number |
18380014
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
巽 二郎 京都工芸繊維大学, 生物資源フィールド科学教育研究センター, 教授 (00163486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 章 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30230303)
富田 祐子 (半場 祐子) 京都工芸繊維大学, 生物資源フィールド科学教育研究センター, 助教授 (90314666)
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Keywords | イネ / 根系 / ウラルカンゾウ / 15N / 13C / シンク / グリチルリチン / 土壌水分 |
Research Abstract |
染色体部分置換系統群のイネを水勾配圃場で栽培し,根系の可塑性を地上部乾物生産への寄与度を定量的に評価した。その結果,根系発育に関わる可塑性程度は,土壌水分によって変化することが示された。また根系の可塑性程度の地上部乾物生産に対する貢献度は土壌水分により変化し,土壌含水率30%前後で最大となった。 圃場に生育した4年生のウラルカンゾウの根系を土壌深度別に採取し,グリチルリチン(GL)含有率および15N自然存在比(δ15N)および13C自然存在比(δ13C)を求めた。根におけるδ15Nの分布パターンは主根と分枝根ともに根の土壌深度が深くなるほど高くなる傾向を示した。地上部では果実が最も高く,次いで,茎の順であり,ストロンでは最も低かった。δ13Cの植物体内の変異は少なく,δ15Nとδ13Cとの間には有意な相関が認められなかった。いっぽうGL含有率の根系における分布は,主根では深い部位で高く,これに対して分枝根では浅い部位で高かった。GLとδ15Nの間には根系全体としては相関が認められなかったが,主根と分枝根に分けた相関では主根において正の相関が,これとは反対に分枝根では負の相関が認められた。またGL含有率とδ13Cとの間には主根において正の相関が,分枝根で負の相関が認められた。以上のことから,GLの蓄積とδ15Nおよびδ13Cの間に密接な関係が存在することが示唆された。また主根と分枝根においてそれらの相関関係が異なっていたことは,同じシンクであっても主根と分枝根との間でGL蓄積のメカニズムが異なっている可能性を示している。
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