2007 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体自然存在比を利用した作物のシンク機能・生理ストレスの解析
Project/Area Number |
18380014
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
巽 二郎 Kyoto Institute of Technology, 生物資源フィールド科学教育研究センター, 教授 (00163486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 章 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30230303)
富田 祐子 (半場 祐子) 京都工芸繊維大学, 生物資源フィールド科学教育研究センター, 准教授 (90314666)
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Keywords | 安定同位体自然存在比 / イネ / カンゾウ / δ13C / δ15N / グリチルリチン / 水ストレス / 窒素栄養 |
Research Abstract |
1.ストレスがイネ体内における安定同位体自然存在比の分布に及ぼす影響について,土壌水分勾配法を用いて調べた。その結果,土壌水分が多い場合では日本晴,カラサスともに器官間のδ13Cの分布に有意な差違は認められず,光合成同化産物の分配に大きな差異はなかった。しかしδ13Cのレベルは全体的にカラサスの方が低く,気孔開度のちがいを反映していた。乾燥条件ではカラサスの穂におけるδ13C値が高くなり,穂への光合成同化産物の転流が阻害されたと推定された。一方日本晴では大きな変化が認められなかった。 2.アンモニア栄養ではイネのδ15Nは葉よりも根で高く,硝酸栄養ではこの逆の傾向であった。 3.カンゾウ根におけるδ15N濃度は根の先端部ほど高く,基部ほど低い傾向を示した。根のグリチルリチン含有率とδ15Nとの間に正の相関が認められた。 以上のことからδ13Cとδ15Nの体内分布はダイナミックに変動し,植物のストレス応答性や物質蓄積機能と密接な関係を持つことが示唆された。
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