2008 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体自然存在比を利用した作物のシンク機能・生理ストレスの解析
Project/Area Number |
18380014
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
巽 二郎 Kyoto Institute of Technology, 生物資源フィールド科学教育研究センター, 教授 (00163486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 章 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30230303)
富田 祐子 (半場 祐子) 京都工芸繊維大学, 生物資源フィールド科学教育研究センター, 准教授 (90314666)
廣瀬 大介 南九州大学, 環境造園学部, 教授 (80269125)
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Keywords | 植物 / 作物学 / 植物生理学 / 植物生産学 / 同位体科学 |
Research Abstract |
生殖成長期のイネの同位体分別比(Δ:N源δ15N-植物δ15N)は硝酸区の2.5mM区で2.6〜4‰,0.5mM区で0.02〜0.12‰であり,アンモニア0.5mM区で2‰,2.5mM区で-1.7〜-2.1‰であった。アンモニア2.5mM区では負の分別比を示したが,これは植物体からのN流出によるものと推定される。器官間におけるδ15N値の変動幅は,アンモニア区よりも硝酸区で大きく,開花期よりも成熟期で大きかった。アンモニア区の変動幅は2‰以内であった。これは他の報告と同様であり,アンモニア同化が根に局在しているためと考えられる。水ストレスによりアンモニア区で変動幅がやや拡大したが,硝酸区では縮小した。これは活発な硝酸還元作用が器官間のδ15N変動幅の拡大をもたらすことを示唆している。各区を通じて高いδ15N値を示す器官は穂,止葉,葉などであったが,根が茎葉部と比較して常に低い傾向を示すとは限らず,とくに開花期硝酸2.5mM区では有意な差は認められなかった。いっぽう稈基部では処理にかかわらず常に低いδ15N値を示した。これは稈基部がN代謝・転流において特異的な役割を果たしているためと推察された。
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