Research Abstract |
塩集積細胞であるブラッダー細胞を形成する分子機構を明らかにするために、シロイヌナズナのトライコーム形成遺伝子(TTG1, GL2, TRY, CPC, AN, TFCA, WRM and CRK)及びワタの繊維形成遺伝子(RDL, MYB2, SUT1, EXP1, ABP, MAPK, RAC1, ACT1, PFN1, CER6, EF1A4, ACY, FDH, SCP, TUA6, TUB1, ACT, CesA and Susy)等と相同性の高い遺伝子をアイスプラントから単離し、発現量をブラッダー細胞欠損変異株と野生株とで比較した。その結果、変異株では、トライコームの発達に関与するGL2及びMYB2の発現量が低下し、トライコーム形成の阻害に関与するTRY及びCPCの発現量が増加することを明らかにした。さらに、サプレッション・サブトラクティブ・ハイブリダイゼーション法を用いて両者において発現量の異なる遺伝子17個を単離し、変異株で強く発現している遺伝子のうち2個がタバコのシステインプロテアーゼ及びブドウのタンパク質キナーゼと、野生株で強く発現している遺伝子の一つがジャスモン酸誘導性遺伝子とそれぞれ高い相同性を示すことを明らかにした。 葉組織内のNaCl蓄積機構を明らかにするために、リンゴ酸の蓄積及びNaClの蓄積に機能分化した液胞をそれぞれ単離し、液胞膜タンパク質を二次元電気泳動で比較した。栽培時の処理NaCl濃度の増加に伴い、液胞膜ナトリウム/プロトン対向輸送体,液胞膜カチオン/プロトン対向輸送体,及びイオントランスポーター等の発現量が変化した。また、液胞膜リンゴ酸輸送体の発現量が増加したことから、これらのタンパク質が液胞膜の機能分化に関与していることが明らかになった。
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