2008 Fiscal Year Annual Research Report
カンキツ‘無核紀州'由来の無核性発現機構の解明と無核性カンキツ育種技術の開発
Project/Area Number |
18380022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北島 宣 Kyoto University, 農学研究科, 教授 (70135549)
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Keywords | 園芸学 / カンキツ / 無核性 / 遺伝子 / 育種 |
Research Abstract |
'無核紀州'の高温処理による約200果実の個々の果実表面温度を熱電対により測定し、それぞれの果実の種子形成を調査した結果、開花0〜4週間後の高温処理で胚の発育と種子形成が促進された。それ以降の高温処理では、開花0〜4週間後よりも果実表面温度は高かったにもかかわらず、胚の発育は認められなかった。開花0〜4週間後の高温処理果実のうち、胚が発育した果実と発育しなかった果実の温度を比較した結果、最高気温は胚が発育した果実で32℃、胚が発育しなかった果実で28℃であり、3℃程度の違いが認められた。このことから、'無核紀州'型の無核性発現は、開花0〜4週間後の高温によって胚の発育停止機構が解除され、種子が形成されると考えられた。 無核紀州型無核性品種の栽培において、安定した無核果実生産のための温度管理の指標を明らかにするために、'サザンイエロー'において、果実表面温度と胚の発育との関係を調査したところ、開花0〜4週間後に28℃以上の高温に3時間以上遭遇すると胚が発育して種子が形成される可能性が示された。 一方、無核紀州型の無核性発現に及ぼすABA、エチレン誘発剤、エチレン合成阻害剤の影響を調査した結果、開花8週間後および10週間後にエチレン合成阻害剤処理によって有核の'平紀州'でAタイプ種子が多く形成された。これは、正常な胚の発育が発育過程で阻害された結果と考えられ、無核紀州型の遺伝的な無核性発現とは異なる可能性が考えられた。 'サザンイエロー'において、無核となる露地栽培と有核となる加温栽培の発現遺伝子の違いをサブトラクション解析で調査した結果、露地栽培では胚の発育停止に関連するMEE遺伝子が、加温栽培ではクロロプラスト関連遺伝子などが特異的に発現した。
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Research Products
(3 results)