2007 Fiscal Year Annual Research Report
ノンコーディングRNA病原体"ウイロイド"の自律複製能と病原性発現の分子機構
Project/Area Number |
18380028
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐野 輝男 Hirosaki University, 農学生命科学部, 教授 (30142699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千田 峰生 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (30261457)
種田 晃人 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (70332492)
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Keywords | ウイロイド / RNAサイレンシング / siRNA / カルコン合成酵素遺伝子 / RNA2次構造予測 / Cofolgaアルゴリズム |
Research Abstract |
(A)ウイロイド感染により宿主植物に誘導されるRNAサイレンシングと病原性の関係 初年度に引き続き、ウイロイド感染植物のカルコン合成酵素(CHS)遺伝子の発現量の解析を行った。本研究費で購入した分析機器を活用して、トマトCHS遺伝子1(tchs1)、トマトCHS遺伝子2(tchs2)及び既に感染により発現量が低下すると報告されているエクスパンシン遺伝子(Le-exp1)(Qi&Ding,2003)について発現量の定量的分析を行った。その結果、tchs1は30-50%、tchs2は53-80%、Le-exp1は0-84%の発現量の低下を示した。特に、tchs2の発現量が最も顕著で、発病との関連性が高かったので、この遺伝子の下流にある遺伝子群のクローニングを開始した。ウイロイド感染植物に生じるsrPSTVdの経時的解析の結果、srPSTVdは接種後12日目頃から検出レベルに達し、25日目頃にかけて、茎頂部に近い葉原基からは約21塩基の短いsrPSTVdのみが検出され、一方、明瞭な病徴が現れた下部展開葉では約21塩基のsrPSTVdに加えて約23-24塩基のsrPSTVdが検出された。接種後20日目の試料を選び、第1、3、4、6、8、9、10葉に生成しているsrPSTVdのシークエンスを行った結果、srPSTVdはウイロイド分子の特定の領域から集中して生成してくることが明らかになった。下部展開葉では5領域に、頂部葉原基ではそのうちの主に3領域に集中していた。また、領域によってプラス鎖とマイナス鎖の頻度に偏りがあった。 (B)自律複製能を生み出す分子構造のバイオインフォマティクス解析と実験的検証 RNA配列用高精度マルチプルアライメントウェブシステムのテスト版を完成し、ウェブ上にて公開した。現在、計算時間の観点から配列長が150塩基以内の直鎖RNA、配列本数5本以下という制限を行っており、ウイロイド対応版(環状RNA、配列長400塩基程度以内)の公開に向けてアルゴリズムの改善を行っている。また、遺伝的アルゴリズムによる二次構造を考慮したRNA配列アライメントアルゴリズムについて、論文投稿準備中(来年度初頭に投稿の予定)。
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Research Products
(6 results)