2008 Fiscal Year Annual Research Report
トマト萎凋病菌非病原力決定ゲノム領域の機能・構造・由来の解析
Project/Area Number |
18380030
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
有江 力 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (00211706)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺岡 徹 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (60163903)
吉田 隆延 農業環境技術研究所, 生物生機能研究領域, 主任研究員 (40355334)
|
Keywords | 菌類 / 植物 / 植物病理学 / 遺伝子 / タンパク質 / 変異株 / 病原力 / プロテオーム |
Research Abstract |
1.レース1抵抗性品種に感染する新系統のトマト萎凋病菌を新たに取得した。この菌では、レース1真性抵抗性(I)に対するレース1特有の非病原力決定遺伝子AVR1(=SIX4)がトランスポゾン様配列の挿入によって破壊されていることを発見した。具体的には、732 bpのSIX4 ORFの、nt. 387に、767 bpの挿入があり、本来244 aa.のSIX4をエンコードするはずが、aa.109以降が異常になった177 aa.のタンパク質をエンコードするように変化していた。この挿入配列には、トランスポゾン様配列に普遍的なtargetsite duplication (8 bp)およびinverted tandem repeat (15 bp)が見られ、クラスIIトランスポゾンのhATファミリーに属すると考えられた。同一地域から時期を変えて採集した菌株からも同様なトランスポゾン様配列が挿入されたSIX4が検出された。以上が新たな病原性獲得の機構、すなわち、非病原力因子破壊機構であると考えられた。2.上記の系統以外のトマト萎凋病菌レース2および3菌株はSIX4を保持しないこと、非病原性菌株を含む多くのF. oxysporum菌株もSIX4を保持しないことを明らかにした。そのため、SIX4領域が他から水平移動してきたとの説(Heuterman 2008)と矛盾しない。一方、日本産キャベツ萎黄病菌がSIX4領域を保持することを発見、トマト萎凋病菌レース1との比較でSIX4の由来を解析する良いモデルになり得ると考えられた。3.病原性株と非病原性株で発現量が異なるタンパク質のうち、ペルオキシレドキシン様タンパク質をコードする遺伝子(hyr1)をクローニング、遺伝子破壊株を作出したが、病原性との関連は示されなかった。4.トマト品種と親和性および非親和性の関係にあるレースのそれぞれGFP、DsRed発現株を作出、病原性、非病原性の解析における定着性の可視化を可能にした。
|
Research Products
(8 results)