2007 Fiscal Year Annual Research Report
サブテロメアの可塑性を利用したいもち病菌非病原力遺伝子の変異と彷徨
Project/Area Number |
18380034
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
土佐 幸雄 Kobe University, 大学院・農学研究科, 教授 (20172158)
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Keywords | Magnaporthe oryzae / Pyricularia oryzae / Avirulence gene |
Research Abstract |
イネのいもち病抵抗性遺伝子Pitaに対する非病原力遺伝子AVR-Pitaは、イネいもち病菌非病原性レースに見出されたものであるが、そのホモログは、イネ菌以外の菌株にも見出される。それらの塩基配列を調べ、上記の機能を持つコピーと比較すると、イネ菌病原性レースから見出される機能を失ったコピーよりさらに多数の塩基置換を有し、系統樹上でも遠縁である。これらが、非病原力遺伝子としての機能を保持しているか否かを明らかにするため、各ホモログをイネ菌P2-b(Pita保有イネ品種ヤシロモチに病原性)に導入し、形質転換体を作出した。これらをヤシロモチに接種したところ、メヒシバ菌、外国産アワ菌、エノコログサ菌、キビ菌のホモログが、非病原力遺伝子としての機能を保持していることが明らかとなった。この現象を次のように解釈した。イネ菌ホモログはPitaに遭遇すると、本来の機能を保持しつつPitaによる認識を回避するという困難な変異を実現しなければならず、結果として最小限の変異で非病原力遺伝子としての機能を失っている。一方、イネ菌以外のホモログは、Pitaに遭遇することがないので、かかる選択圧は本来の機能を失わないことのみである。それに付随して、非病原力遺伝子としての機能も保持したまま、塩基配列レベルでの分化を続けているものと思われる。
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