Research Abstract |
昆虫における成長, 脱皮, 変態, 代謝, 生殖,行動などの生理的機能の制御には, 脳から分泌されるペプチドホルモンが重要な役割を果たしている。一方, 末梢ホルモンであるエクジソンや幼若ホルモンも, 脳にフィードバック制御を行うことが示唆されている。しかし, これまでの研究では, 様々なホルモンが脳内で遺伝子発現にどのように関わり, その結果, どのような生理作用を及ぼすかについては不明であった。個々のホルモンの作用機構については断片的な報告はなされているが, どの遺伝子の発現を誘導し, どの遺伝子の発現を抑えるといった網羅的かつ包括的な遺伝子レベルでの解析は少ない。そこで本研究では, 変態時に脳で作動する遺伝子の網羅的な解析を行い, ホルモン間の分子レベルでの相互作用や変態の分子機構を探ることを目的とした。 上記目的のために, カイコガ幼虫脳と蛹脳において作動している遺伝子セットの変更を網羅的に解析する。単に, サブトラクションライブラリーだけでなく, DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析を併用し, 変態過程における作動遺伝子セットを系統的に解析する。マイクロアレイを用いた実験は, (独)農業生物資源研究所の施設を利用し, 三田和英博士との共同研究として行う。
|