2006 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫培養細胞高度利用技術開発のための遺伝子発現ネットワーク解析
Project/Area Number |
18380044
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小林 淳 山口大学, 農学部, 教授 (70242930)
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Keywords | カイコ / 培養細胞 / マイクロアレイ / 代謝 / RAPD / piggyBac / クワコ / トランスポゼース |
Research Abstract |
(1)カイコ培養細胞の培養条件に対する反応パスウェイに関わる遺伝子発現の網羅的解析 カイコ卵巣由来BmN4細胞を10%牛胎児血清(FBS)添加したTC-100培地とSf-900II培地で培養し、それぞれの培養条件における遺伝子発現の差異をオリゴDNAマイクロアレイを用いて網羅的に分析した結果、2倍以上発現量が異なる遺伝子を383個検出できた。TC-100(+10%FBS)培地で発現が増加する遺伝子にはコラーゲンなど細胞外マトリクスや糖鎖修飾など分泌経路に関わるものが多く含まれており、一方、Sf-900II培地では特定のレクチンや熱ショックタンパク質遺伝子の発現が増加していた。特に発現量に大きな差が見られた遺伝子のプロモーターは、培養細胞における遺伝子発現の培養液成分による制御に利用可能と判断された。 (2)各種カイコ培養細胞株に特有な代謝パスウェイに関わる遺伝子発現の網羅的解析 カイコ由来の8種培養細胞株の網羅的解析に先立ち、細胞株のDNAをRAPD分析し、BmN4細胞と比較し、そのうち2株がカイコ由来でないことを明らかにした。一方、カイコ近縁種のクワコ由来培養細胞については、RAPD分析でカイコとほぼ同種なみの類似性が認められたことから、マイクロアレイ分析における比較対象として使用可能であると判断された。 (3)遺伝子発現ネットワークの検出及び検証に必要なアッセイ系の構築 カイコ培養細胞において特定の遺伝子発現を人為的に促進あるいは抑制し,他の遺伝子発現に及ぼす影響を解析するアッセイ系構築に必要なpiggyBacベクターを作製し、それを用いて作出したGFP遺伝子を人為的に発現する形質転換細胞の染色体DNAにおけるベクター挿入位置を5カ所確認した。同時に、ヘルパープラスミドのトランスポゼース遺伝子も形質転換細胞中に残存していることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)