2009 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫培養細胞高度利用技術開発のための遺伝子発現ネットワーク解析
Project/Area Number |
18380044
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小林 淳 Yamaguchi University, 農学部, 教授 (70242930)
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Keywords | カイコ / 培養細胞 / Ras / piggyBac / transposase / アセチルコリンエステラーゼ / 脂質修飾 / 濃核病ウイルス |
Research Abstract |
(1) カイコ培養細胞の培養条件に対する反応パスウェイに関わる遺伝子発現の網羅的解析 カイコゲノムの国際的なアノテーション共同作業が平成22年度に開始されることに鑑み、その結果が公開されてから、カイコBmN4細胞において培地の違いで発現量が2倍以上異なる383遺伝子(現時点でホモログ不明の211遺伝子を含む)を既知のパスウェイ上にマッピングすることに予定を変更し、本年度の解析実施を見合わせた。 (2) 各種カイコ培養細胞株に特有な代謝パスウェイに関わる遺伝子発現の網羅的解析 カイコKe1細胞のバキュロウイルスBmNPV感受性増進に関与するpromoting protein (PP)以外のカイコ体液成分の分離同定はうまくゆかなかった。一方、新たにカイコゲノム情報を利用してクローニングされた3種類のras遺伝子ホモログがすべてゲラニルゲラニル化されていることを明らかにし、ほ乳類のファルネシル化とは異なる昆虫Rasタンパク質特有の翻訳後脂質修飾パスウェイが存在することを報告した。 (3) 遺伝子発現ネットワークの検出及び検証に必要なアッセイ系の構築 トランスポゼースをmRNAで供給するpiggyBacベクター形質転換技術で作製したトランスジェニック細胞から、導入遺伝子の翻訳産物量の異なる10種類の細胞をクローニングし、導入遺伝子のコピー数と転写量を比較検討した結果、翻訳産物量はコピー数あるいは転写量のいずれとも明瞭な相関を示さないが、転写量/コピー数に強く依存することを明らかにした。今後、各クローン細胞の導入遺伝子の染色体上の位置を決定し、発現量との関係を明らかにすることが課題として残された。また、カイコアクチンA3プロモーターをhr5エンハンサーで増強した一過性発現ベクターを用いて、人為的突然変異アセチルコリンエステラーゼ遺伝子およびカイコ2型濃核病ウイルス感受性遺伝子を効率よく生産するin vitroアッセイ系の構築に成功し、新たな殺虫剤ターゲットのモデル分子としてシロアリのアクアポリン遺伝子のクローニングできた。さらに、サクサン核多角体病ウイルスの全ゲノムDNAを解読した。今後、これらを安全な農薬候補分子検定やウイルス感染メカニズムの解明に役立てる。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] Genome sequence of Antheraea pernyi nucleopolyhedrovirus used for baculovirus expression vector system2009
Author(s)
Tsuda, Y., Mitsutake, H., Itakura, M., Huang, Y., Wang, X., Kobayashi, J.
Organizer
第32回日本分子生物学会年会
Place of Presentation
パシフィコ横浜
Year and Date
2009-12-11
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