2006 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌生態研究の基盤構築と糸状菌の硝化・脱窒能の解明による窒素循環系の新提案
Project/Area Number |
18380050
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鮫島 玲子 Shizuoka University, 農学部, 助教 (00377722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 進一 独立行政法人農業生物系特定産業技術研究機構, 野菜茶業研究所, 主任研究員 (50425576)
加藤 憲二 静岡大学, 理学部, 教授 (70169499)
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Keywords | Fusarium / 脱窒 / 亜酸化窒素 / P450nor / ダイズ / 根粒 / チャ園 / 土壌 |
Research Abstract |
土壌での脱窒と糸状菌による脱窒の関連を明らかにするため、(1)糸状菌によるN_2O発生が確認されているチャ園土壌、および、(2)N_2Oの発生とFusarium属糸状菌の存在がダイズ根粒着生系統に特異的なダイズ根粒根圏土壌の、2種類の農地土壌から分離した脱窒性糸状菌を供試菌株とし、以下の実験を行った。 まず、18SrDNA部分塩基配列解析による分離菌株の同定を行なった結果、チャ園土壌からはAspergillus属、Cladosporium属、Penicillium属の脱窒性糸状菌が、ダイズ根粒根圏土壌からはFusarium属の脱窒性糸状菌が同定された。これらの属の糸状菌は一般的な土壌菌とされる。 次に、チャ園土壌分離株のPDA-O-7株(Aspergillus)とダイズ根粒根圏土壌分離株のRoot-5株(Fusarium)について、密閉培養系(初期好気条件、初期O_2濃度約21%)でのN_2O発生量とO_2濃度を測定した。また、PDA-O-7株については初期O_2濃度約12%、約5%、約0%の培養系においても測定した。 その結果、PDA-O-7株は、初期O_2濃度約0%の培養系以外の培養系において、O_2濃度の減少に伴いN_2Oが検出され、嫌気になった後もN_2Oを発生し続けた。Root-5株では嫌気でのN_2O発生が検出された。 さらに、PDA-O-7株とRoot-5株が糸状菌に特有なNO還元酵素遺伝子(P450norの遺伝子CYP55)を保持しているかどうか調査するため、ゲノムDNAからのCYP55のPCR増幅を試みた。その結果、PDA-O-7株のゲノムからはCYP55遺伝子配列は検出されなかった。一方、Root-5株のゲノムにはCYP55遺伝子配列が検出された。よって、このダイズ根粒根圏土壌では、Root-5株がN_2Oを発生しており、NOからN_2Oへの還元反応はCYP55遺伝子が生産するP450norが担っていることが示唆された。 また、茶園土壌およびダイズとイネの田畑輪換土壌のN_2Oを発生特性を調査し、土壌DNAを用いた糸状菌群集構造解析を行った。脱窒糸状菌の分離を試みたが、活性の強い菌株は得られなかった。
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Research Products
(1 results)