2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18380051
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 眞人 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (20092190)
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Keywords | 細菌 / ファージ / 表面水 / 季節変動 / 死滅 / 透過型電子顕微鏡 / 環境DNA / Sphingomonas |
Research Abstract |
1)水田表面水に生息する細菌の死滅に対するファージの影響を評価するため、表面水中の細菌をグリッド上に集菌し透過型電子顕微鏡を用いて、高倍率で細菌細胞内のファージの有無を観察した。水田として、愛知県農業総合試験場安城農業技術センター内の長期肥料連用試験圃場を供試した。堆肥区の表面水中では2.4〜3.6%(平均3.0%)の細菌細胞中にファージが観察され、石灰三要素区の表面水中細菌(1.6〜2.9%、平均2.0%)より高い値であった。細菌細胞中のファージは感染後の後期のみ顕微鏡で観察される。観察できない時期を考慮し、ファージによる細菌の死滅を試算した結果、堆肥区では21.7〜35.0%(平均27.9%)、石灰三要素区では12.8〜27.3%(平均17.3%)と推定され、ファージが表面水中の細菌群集の変動に少なからず影響しているものと結論された。 2)表面水中の主要な細菌であるSphingomonasに感染するファージを58株分離し、その形態、宿主範囲およびカプシド遺伝子g23の塩基配列による系統的多様性を調査して結果、形態からはいずれもSiphoviridae科に属し、宿主範囲はファージの分離に用いたSphingomonas.株によって様々であった。g23遺伝子の塩基配列は、海洋中のファージの配列と全く異なり土壌に特有の配列で、その多様性はこれまで土壌から得られたクローンの多様性に匹敵する広いものであった。 3)同じ水田の表面水からDNAを抽出し、g23遺伝子に特異的なプライマーを用いてPCR増幅し、抽出DNAと実験2)で得られたファージのg23遺伝子の多様性を比較した。その結果、抽出DNA中には、土壌特有のg23遺伝子配列に加えて、大腸菌群および海洋から得られたファージやクローンに類似した塩基配列が観察され、Sphingomonas.に感染するファージ群集より、より多様であることが判明した。
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Research Products
(5 results)