2008 Fiscal Year Annual Research Report
イネ科植物由来のアルミニウム耐性遺伝子の単離と機能解析
Project/Area Number |
18380052
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
馬 建鋒 Okayama University, 資源生物科学研究所, 教授 (80260389)
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Keywords | イネ科植物 / アルミニウム耐性 / 毒性 / クエン酸分泌 / トランスポーター / マイクロアレイ |
Research Abstract |
イネはアルミニウム(A1)耐性植物として知られているが、その耐性機構については未だ明らかになっていない.本研究では,44KオリゴDNAマイクロアレイを用いて、根の先端と基部に分けてアルミニウムに応答する遺伝子をイネ耐性品種(コシヒカリ)とアルミニウム高感受性変異体starl/alsl (sensitive to Al rhizotoxicity 1/Al sensitive 1)との間で比較検討した。20μM A1、6時間の処理によって根の先端で発現量が3倍以上変動した遺伝子は野生型で786個であったのに対して、変異体では5547個であった。そのうち、624個は共通の遺伝子であった。一方基部では、野生型と変異体でそれぞれ616個と8676個の遺伝子発現が誘導され、うち453個は共通であった。また根の先端と基部を比べると、野生型では207個、変異体では3539個の共通遺伝子の発現変動が見られた。野生型のみで発現誘導される遺伝子(根先端162個)を耐性遺伝子、変異体のみで発現が誘導される遺伝子を障害遺伝子(根先端4923個)として、遺伝子の機能分類をすると、耐性遺伝子には転写因子や細胞壁関連の遺伝子が多く含まれていた。一方、障害遺伝子には、一般的なストレスによって誘導される遺伝子が多く含まれていた。 またオオムギクエン酸トランスポーター遺伝子HvAACT1のイネでの相同遺伝子OsFRDL4の機能解析を行った。OsFRDL4のTos-17挿入株(NF)を取得して、A1による根圏へのクエン酸の分泌量を比較したところ、NFはWTに比べて著しく低下していることが明らかとなった。また破壊株のアルミニウム耐性は野生型と比べ、少し低下していた。これらのことはOsFRDL4がA1による根圏へのクエン酸の分泌に機能していることを示している。OsFRDL4は主に根で発現し、その発現量はアルミニウムによって数時間で100倍程度に増加していた。
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Research Products
(4 results)