2006 Fiscal Year Annual Research Report
未開拓遺伝子資源を利用した細菌の有機塩素系環境汚染物質浄化能力の総合的開発
Project/Area Number |
18380054
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永田 裕二 東北大学, 大学院生命科学研究科, 助教授 (30237531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 雅孝 東北大学, 大学院生命科学研究科, 教授 (90172022)
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Keywords | 酵素 / 細菌 / バイオテクノロジー / 微生物 / 環境汚染物質 |
Research Abstract |
本研究では、環境汚染が深刻な代表的な有機塩素系殺虫剤に焦点をあて、(i)難培養性微生物の遺伝情報も含む未開拓な遺伝子資源から新規の分解酵素遺伝子の取得、(ii)有機塩素系環境汚染物質分解の鍵酵素である脱ハロゲン酵素の機能改良、(iii)直接の分解酵素以外で分解活性の発現に必須な細胞因子の同定、(iv)有効な有機塩素系化合物の生分解システムの構築、を実施し、環境細菌が有する高度難分解性有機塩素系化合物の分解能力を正確に把握し、これを総合的に開発することで環境浄化へ結びつけることを目的とする。本年度の主な成果は以下の通りである。 1)HCH汚染土壌より、培養非依存的にlinB遺伝子を担うプラスミドpLB1を取得し、その全塩基配列を決定したところ、pLB1は新規性の高いプラスミドであることが明らかになった。 2)有機塩素系殺虫剤HCH汚染土壌より単離した細菌MI1205株が保持するLinB-MIは、UT26株由来のLinB-UTと7アミノ酸残基のみの違いにも関わらず、(i)β-HCHに対する顕著に強い分解活性、(ii)PCHLをさらにTCDLにまで変換する活性、というLinB-UTにはない特性を有することが明らかになった。 3)結核菌類縁菌由来のLinBホモログDhmAは、大腸菌中では良好に発現せず、解析が困難であったが、グラム陽性菌でDhmAを高発現させる系を構築し、反応に必須なアミノ酸残基の同定に成功した。 4)LinBホモログのDhaAのスロット部位の改変により、難分解性有機塩素化合物1,2,3-TCPの分解活性が向上した変異酵素の取得に成功した。 5)γ-HCH分解菌UT26株のγ-HCH資化能に必須なABCトランスポーターホモログを同定した。さらに、本ABCトランスポーターホモログは、γ-HCH代謝の際に生じる毒性物質の耐性能に関与していることが判明した。
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