2007 Fiscal Year Annual Research Report
未開拓遺伝子資源を利用した細菌の有機塩素系環境汚染物質浄化能力の総合的開発
Project/Area Number |
18380054
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永田 裕二 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (30237531)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 雅孝 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90172022)
|
Keywords | 酵素 / 細菌 / バイオテクノロジー / 微生物 / 環境汚染物質 |
Research Abstract |
本研究では、環境汚染が深刻な代表的な有機塩素系殺虫剤に焦点をあて、(i)難培養性微生物の遺伝情報も含む未開拓な遺伝子資源から新規の分解酵素遺伝子の取得、(ii)有機塩素系環境汚染物質分解の鍵酵素である脱ハロゲン酵素の機能改良、(iii)直接の分解酵素以外で分解活性の発現に必須な細胞因子の同定、(iv)有効な有機塩素系化合物の生分解システムの構築、を実施し、環境細菌が有する高度難分解性有機塩素系化合物の分解能力を正確に把握し、これを総合的に開発することで環境浄化へ結びつけることを目的とする。本年度の主な成果は以下の通りである。 1)ハロアルカンデハロゲナーゼLinBが重要な環境汚染物質である1,2,3-trichloropropaneに対して微弱な分解活性を有することを見出した。 2)根粒菌由来のLinBホモログであるDbjAの結晶化、および立体構造解析に成功した。 3)環境汚染物質分解に関わるプラスミドpWW53の全塩基配列を解読すると共に、可動性遺伝因子を介したプラスミドゲノムの構成原理を解明した。 4)γ-HCH分解菌UT26株のγ-HCH資化能に必須なABCトランスポーターが、外膜の性質を変えることにより、γ-HCH代謝の際に生じる毒性物質の耐性能に関与していることを解明した。 5)有機塩素系殺虫剤HCH汚染土壌より単離した細菌MI1205株が保持するLinB-MIが、UT26株由来のLinB-UTと7アミノ酸残基のみの違いにも関わらず、(i)β-HCHに対する顕著に強い分解活性、(ii)PCHLをさらにTCDLにまで変換する活性、というLinB-UTにはない特性を有することを精製酵素を用いて解明し、さらに、活性の違いに重要なアミノ酸残基の同定を実施した。 6)カイメン共在細菌メタゲノムより新規ハロアルカンデハロゲナーゼ遺伝子を取得した。
|