2006 Fiscal Year Annual Research Report
酢酸菌にみられる特異な「酢酸耐性」機構の分子基盤解析
Project/Area Number |
18380059
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松下 一信 山口大学, 農学部, 教授 (50107736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
外山 博英 山口大学, 農学部, 助教授 (60240884)
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Keywords | 酢酸菌 / 酢酸耐性 / 膜小胞 / 反転膜小胞 / 呼吸鎖 / 菌膜多糖 |
Research Abstract |
1)エタノール酸化系エネルギー生成反応と酢酸耐性能:酢酸菌は酢酸発酵時に「酢酸耐性能」を示す。これは酢酸生成反応を行うエタノール酸化系呼吸鎖によるエネルギー生成が寄与していると考えられる。そこで、他の酸化系でも酢酸耐性のためのエネルギー供給を行えるか否かを明らかにするため、乳酸、コハク酸などの呼吸基質をエタノールに代えて与え、その「酢酸耐性能」を比較解析した。その結果、これらの基質でもある程度の酢酸耐性が認められ、呼吸鎖電子伝達系が酢酸耐性のエネルギー源となっていると考えられた。 2)「酢酸耐性期」における酢酸菌細胞の生理的・形態的変化についての解析:「酢酸耐性期」の急速な生菌数の減少する時期に、CSLMを用いた生菌・死菌の解析を行った結果、多くの死菌に加えて、生死中立的な細胞が観察された。これらの菌は寒天プレート上での生菌数測定の際に遅れて生育する小さなコロニーに対応すると予想され、「死細胞」ではないと考えられた。 3)酢酸排出系の機能解析:酢酸発酵下の菌体による酢酸排出能の解析の前提として、グリセロール培養細胞、さらにそこから調整された膜小胞を用いた^<14>C-Acetateの取り込み活性の測定を行った。これら生菌体および膜小胞では、その取り込み活性が認められたが、排出活性は認められなかった。また、排出活性の測定に重要な反転膜小胞の作製も試みたが、今のところ有効な作製法は確立されていない。 4)菌膜多糖生合成遺伝子解析と酢酸耐性に及ぼす影響の解析:酢酸菌が生産する菌膜多糖が欠損すると「酢酸耐性能」は低下する可能性が高い。そこで、多糖欠損変異株と野生株での生菌体による^<14>C-Acetateの取り込み(流入)活性を測定した。その結果、欠損株での取り込み(流入)活性が高いことが示され、菌膜多糖と酢酸耐性に何らかの相関があることが示唆された。
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