2007 Fiscal Year Annual Research Report
酵母のアセチル化酵素Mprlによる抗酸化機構の解明と有用酵母の育種への応用
Project/Area Number |
18380062
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高木 博史 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 教授 (50275088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日び 隆雄 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (00285181)
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Keywords | 酵母 / アセチルトランスフェラーゼ / 酸化ストレス / 活性酸素種 |
Research Abstract |
酵母Saccharomyces cerevisiaeΣ1278b株に見出したMprlは、アゼチジン-2-カルボン酸(AZC)をアセチル化し解毒する新規酵素であるが、細胞内の活性酸素種レベルを制御し、熱ショック、冷凍、エタノールなどのストレスから酵母を保護することが判明した。今年度は、Mprlの機能発現に重要な残基の同定と立体構造の解析を目的に研究を実施し、以下の成果を得た。 1)Mprlの機能発現に重要な残基の同定 基質との結合や触媒機能に関与すると考えられるアミノ酸残基を置換したMprl遺伝子を大腸菌で発現させ、AZC感受性を示す変異型Mprlを取得した。組換え酵素を用いたキネティクス解析により、N-アセチルトランスフェラーゼスーパーファミリー内で保存性の高いArgl45をAla,Gly,Trp,Asp,Gluにそれぞれ置換すると、AZC、アセチルCoAの両基質に対する親和性が顕著に減少したことから、Argl45が基質との結合に関与することが示された。また、保存性の高いTyrをAlaに置換した結果、ほとんどの変異型酵素で触媒効率が低下し、温度安定性が低下したものもあった。さらに、各TyrをPheに置換すると、Tyrl66Pheのみ酵素機能が低下したことから、Tyrl66の側鎖のOH基が触媒活性に重要であることが示された(論文印刷中)。 2)Mprlの立体構造解析 昨年度報告した結晶は双晶であったことから、再度結晶化を行い、空間群P1(a=80.3Å,b=84.3Å,c=106.3Å,α=99.6°,β=90.7°,γ=89.8°)に属する単結晶を新たに得た。本単結晶を用いて初期位相を求め、3.5Å分解能の電子密度図を得た。その結果、MprlはアリルアミンN-アセチルトランスフェラーゼの形状に類似しており、低分子物質を基質とする解毒酵素である可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)