2008 Fiscal Year Annual Research Report
酵母のアセチル化酵素Mpr1による抗酸化機構の解明と有用酵母の育種への応用
Project/Area Number |
18380062
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高木 博史 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 教授 (50275088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日〓 隆雄 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (00285181)
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Keywords | 酵母 / アセチルトランスフェラーゼ / 酸化ストレス / 活性酸素種 |
Research Abstract |
酵母Saccharomyces cerevisiae S1278b株に見出したMpr1は、アゼチジン-2-カルボン酸(AZC)をアセチル化し解毒する新規酵素であるが、高温、冷凍、エタノールなどにより細胞内に発生する活性酸素種(ROS)レベルを制御し、酸化ストレスから酵母を保護することが判明している。今年度は、Mpr1の抗酸化機構と立体構造の解明を目的に研究を実施し、以下の成果を得た。 1)Mpr1の抗酸化機構 Mpr1はプロリン(Pro)代謝中間体pyrroline-5-carboxylate(P5C)/glutamate-γ-semialdehyde(GSA)をアセチル化し、Proとアルギニン(Arg)の代謝に関与している。S1278b株に高温ストレスを施したところ、ProをP5C/GSAに酸化するProオキシダーゼの遺伝子(PUT1)やMPR1が誘導されていた。また、PUT1やMPR1を破壊すると、野生株より高温ストレスに感受性を示した。以上の結果から、S1278b株は高温などの酸化ストレスに応答し、PUT1の誘導によりProの分解を行い、生じたP5C/GSAをMpr1がアセチル化することで、Arg合成系を亢進し、酸化ストレス耐性を獲得するモデルが考えられた。 2)Mpr1の立体構造解析 新たな単結晶を用いてX線回折実験を行った結果、到達分解能2.5Aでデータを収集でき、本結晶が空間群P3_112(a=b=84.1A,c=192.3A)に属することが判明した。また、AZCとの複合体P3_112単結晶を用いて高到達分解能1.9Aでデータを収集した。さらに、位相決定を行うため、本酵素のSeMet変異体の結晶化スクリーニングを行なった。その結果、Trp185SeMet変異体の結晶からMAD測定により初期位相を求め、部分的に解釈可能な電子密度図から初期モデルを構築した。
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Research Products
(8 results)