2007 Fiscal Year Annual Research Report
オキシトシン受容体の社会行動制御と体温調節機能に関する研究
Project/Area Number |
18380063
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西森 克彦 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 教授 (10164609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾仲 達史 自治医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90177254)
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Keywords | オキシトシン受容体 / 遺伝子KOマウス / 母性行動 / 社会行動 / 下垂体後葉ホルモン |
Research Abstract |
脳内視床下部の室傍核と視索上核で合成されるオキシトシンの受容体OTR(GPCRファミリー)は分娩や射乳等、生殖機能に重要な機能を持つが、OTRの遺伝子欠損マウスの解析により雄特異的に肥満が誘起され、エネルギー代謝制御機構に異常を来すことを我々は初めて見いだした。Otr-/-の呈した肥満の原因は摂食行動・活動量低下のせいではなく、また寒冷曝露を用いた直腸体温の測定により、OTR欠損マウスの熱産生能力は絶食条件、及び飽食条件に於いて、野生型に比べ顕著な体温低下を示す事を見出した。Ot-/-についても同様の軽い症状を観察した。視床下部からの刺激によりBAT(褐色脂肪組織)へ投射する交感神経末端からのノルアドレナリン(NA)放出に対応し、BATに発現して熱産生を促進するβ3AR(アドレナリン受容体)と熱産生を抑制するα2ARについて、Otr-/-ではOtr+/+に比して通常温度時のβ3ARの発現量が低下し、逆に常温寒冷の両温度条件下においてはα2ARの発現量の増加している事を見いだした。一方、脳体温中枢のOTを発現する視床下部PVNでの体温とOT発現の関係を調べところ、寒冷温度時にOT陽性ニューロンの一部が神経細胞活性化マーカーc-Fos陽性(神経活動の活性化)を示した。別の体温中枢のDMH/VMH領域でもOtr-/-でc-Fos陽性細胞数が減少し、神経細胞の活性化が減弱している事を見いだした。OTRニューロンを識別出来るOTR-VenusKnockinマウスの寒冷曝露時のc-Fos局在解析ではDMH/VMH領域の一部OTR-venus発現ニューロンがc-Fos陽性となること、他の視床下部領域のMnPO領域やLS領域でも、OTR-venusとc-Fosの共局在を認めた。以上は新規なオキシトシン系の機能を示す新しい発見である。Takayanagi, Y. et al., Neuroreport(in press)(2008)とKasahara, Y. et al., Biosci. Biotechnol. Biochem. 71,3122(2007)にて発表され、更にKasahara, Y. et al."Novel thermoregulatory function of Oxytocin receptor system."の投稿を準備中である。
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Research Products
(23 results)