2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物の液胞膜プロトンポンプが支える金属イオン集積機能の分子システム解明
Project/Area Number |
18380064
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前島 正義 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (80181577)
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Keywords | 亜鉛輸送 / 亜鉛濃度感知 / 液胞膜 / 植物 / 金属耐性 / イオン選択性 |
Research Abstract |
植物細胞において液胞が担う金属イオンの集積機能に焦点を当てた。生育に必須なZnは過剰分を液胞に蓄積し、必要な時に細胞質に供給する機構を備えており、本研究では液胞への亜鉛集積機能を支えるZn^<2+>/H^+対向輸送体(MTP1)を中心的な研究対象とし、これをエネルギー的に支えるプロトンポンプにも焦点を当てた。さらに、金属イオンホメオスタシスに関わると推定される新規金属結合タンパク質(PCaP)を見出し、金属イオン輸送系との関連に焦点を当てた。とくにZn^<2+>/H^+対向輸送体MTP1の構造を基盤とする作動機構,イオン濃度センサー機能,生理機能の特性の解明実験を進めた。MTP1の細胞質側ループの一つはヒスチジン残基に富み亜鉛濃度感知の必須部分と推定し、このHisをAlaに置換し、個々の役割を評価したところ、10個以上のHisを置換した場合にのみ亜鉛輸送活性に影響が生じた。このことは、His領域中ではHisの一定数の個数が重要であることを示している。さらに、いくつかの変異型MTP1は、亜鉛のみでなくコバルト輸送能も獲得することを発見した。詳細を検討中である。また、PCaPはカルシウムと銅イオンを結合する能力をもち、PCaP遺伝子欠失株では、過剰な銅を含む培地での生育が野生株に比して著しく低下することも見出し、金属イオンストレス耐性への関与が示唆された。
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