2006 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナ科植物の自家不和合性における膜アンカー型細胞質キナーゼMLPKの機能解析
Project/Area Number |
18380069
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高山 誠司 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (70273836)
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Keywords | シグナル伝達 / 植物 / 生殖 / リン酸化 / キナーゼ / 自家不和合性 / アブラナ科 |
Research Abstract |
本研究は、アブラナ科植物の自家和合性変異株の原因遺伝子として同定された膜アンカー型細胞質キナーゼMLPKの自家不和合性情報伝達における機能解明を目的とする。本年度の研究成果は以下の通り。 1)MLPK活性化機構の解明 MLPKが2種類の転写産物を介してN末端配列の異なる2種類の蛋白質に翻訳されること、両者は異なる転写調節を受け異なる組織で発現すること、いずれも乳頭細胞では発現し蛋白質は細胞膜上に局在すること、その細胞膜局在性が自家不和合性の情報伝達に必須であることが明かとなった。自家不和合性の雌ずい側受容体SRKと同じ乳頭細胞膜上で機能することから、MLPKがSRKの直下で機能している可能性が示唆された。さらに、各種酵母two hybrid系を用いたSRK-MLPK間相互作用解析では、両者間の直接的相互作用は確認されなかったが、大腸菌発現蛋白質を用いたin vitroリン酸化実験では、MLPKはSRKの選択的基質となることが示唆され、MLPKがSRKの直接的なリン酸化標的として機能している可能性が示唆された。 2)MLPKの標的分子の特定 酵母two hybrid系を用いて、MLPKと相互作用する柱頭蛋白質候補を複数同定した。また、プロテオミクス解析により、自家不和合性受粉時に特異的にリン酸化される蛋白質を複数同定した。今後、これらの候補因子について解析を進めていく予定である。さらに、遺伝学的にMLPKの標的分子を探索する目的で、シロイヌナズナのMLPKオーソログと推定されるAOK1b遺伝子のタグラインの解析を行ったが、タグをホモに持つ株でも野生型と異なる表現型は観察されなかった。APK1bが自家不和合性の情報伝達系においてのみ機能している可能性と、他の機能も有するが遺伝子の冗長性により表現型が現れない可能性が示唆された。
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