2006 Fiscal Year Annual Research Report
疫病菌Phytophthoraの性ホルモンに関する基礎研究
Project/Area Number |
18380073
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小鹿 一 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (50152492)
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Keywords | 疫病菌 / 生理活性 / 微生物 / 有機化学 / ホルモン |
Research Abstract |
疫病菌の有性生殖は性ホルモン(A1交配型が分泌するα1とA2交配型が分泌するα2)により制御されており、疫病菌の伝播や変異に重要な役割を果たしている。これら性ホルモンの解明は長年の懸案であったが、申請者らは2005年、ホルモンα1の解明に成功した。この成果を発展させるため、ホルモンα1の立体構造の解明およびホルモンα2の同定を目的として研究を行い、以下の成果を得た。 (1)ホルモンα1の立体構造:α1に存在する4つの不斉炭素のうち両末端の絶対配置を決定した。すなわち分子の両末端の1級水酸基を(R)-および(S)-MTPAエステル化し、NMRデータを比較することにより決定できた。なお、一方の末端の不斉炭素はこれを含むモデル構造を合成して比較対象とした。残り2箇所については、可能な4種の立体異性体を全て合成すろ必要がある。 (2)ホルモンα2の同定:初期の段階では、疫病菌A2株の培養液を溶媒抽出すると、ホルモン活性が消失するという問題があった。そこで種々検討を加えた結果、次の2つの重要な知見が得られた。すなわち、液体培養上精を直接逆相担体ODSを用いて固相抽出すると、ホルモンは一旦吸着され、メタノールで溶離でき、ある程度精製できた。これにより、大量の有機溶媒を用いずα1の濃縮が可能であることがわかった。また、α2はニトロセルロース/セルロースアセテート膜に選択的に吸着されることが判明した。したがって、この膜とともに固体培養し、膜をエタノールで抽出することによりα2の生産が可能になると期待できる。
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