2007 Fiscal Year Annual Research Report
疫病菌Phytophthoraの性ホルモンに関する基礎研究
Project/Area Number |
18380073
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小鹿 一 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (50152492)
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Keywords | 疫病菌 / 生理活性 / 微生物 / 有機化学 / ホルモン |
Research Abstract |
疫病菌の有性生殖は性ホルモン(A1交配型が分泌するα1とA2交配型が分泌するα2)により制御されており、疫病菌の伝播や変異に重要な役割を果たしている。これら性ホルモンの解明は長年の懸案であったが、申請者らは2005年、ホルモンα1の解明に成功した。この成果を発展させるため、ホルモンα1の立体構造の解明およびホルモンα2の同定を目的として研究をおこない、以下の結果を得た。 (1)ホルモンα1の立体構造:4つの不斉炭素のうち両末端の絶対配置を、誘導体化とNMR解析により解明した。残り2箇所の絶対配置を検討中、東京農業大学の研究グループによる4種の立体異性体の全合成が達成されα1の立体構造は解明された。 (2)ホルモンα2の同定:α2はニトロセルロース/セルロースアセテート膜に選択的に吸着されることが判明したので、この膜とともに培養し、膜をエタノールで抽出することにより活性粗抽出物を得た。しかし、この膜は高価で非効率的なので、次に液体培養によるα2の生産を試みた。液体培養物を有機溶媒で抽出するとホルモン活性は消失するが、培養上精を直接逆相担体ODSを用いて固相抽出すると、活性は回収されある程度精製できることがわかった。さらに、A2株の培養条件を種々検討した結果、培地にフィトールを添加するとホルモン活性が格段に向上することが分かった。活性ODS画分をシリカゲル担体により分画したところ活性が消失したが、逆相HPLCで精製可能であることが分かった。これら条件検討に時間を要し大量培養は平成20年度にずれ込んだ。その後、約100リットルの培養物から約1mgのα2の単離に成功し、化学構造の決定に成功した。
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Research Products
(2 results)