2006 Fiscal Year Annual Research Report
菌根菌と植物との共生相互作用における化学的制御機構の解明
Project/Area Number |
18380074
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
秋山 康紀 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教授 (20285307)
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Keywords | 菌根菌 / 共生 / 菌類 / 植物 / シグナル物質 |
Research Abstract |
本研究では,外生菌根菌(ECM菌)と木本植物との共生における宿主植物側のシグナル物質の単離・同定を目的とする。ECM菌は宿主植物の根の近傍で菌糸を細かく分岐させる。これはECM菌の宿主認識反応であり,根から分泌される物質により誘導されると考えられている。しかしながら,この菌糸分岐誘導物質は未だ単離されていない。本年度は,ECM菌と内生菌根菌の一種であるアーバスキュラー菌根菌(AM菌)の両方と共生できるユーカリやECM菌としか共生できないアカマツの2つを宿主植物として,これらと共生するECM菌であるコツブタケ(Pisolithus tinctorius)やマツタケ(Tricholoma matsutake)を共生菌として用い,まず,宿主植物の根の近傍でのECM菌の菌糸の形態変化を観察する実験系の構築を行った。アカマツ-マツタケのin vitro二者培養系において,根の近傍でマツタケ菌糸は一次菌糸から数多くの二次菌糸を分岐生成することが分かった。アカマツを水耕栽培し,その水耕液を酢酸エチル,n-ブタノールで溶媒分画を行い,分岐誘導活性を調べたところ,活性は水相残渣に見られた。AM菌の菌糸分岐を誘導するストリゴラクトンの一種である5-デオキシストリゴールはマツタケの菌糸分岐を誘導しなかった。ユーカリ-コツブタケのin vitro二者培養系では,菌糸の自発的な菌糸分岐のために,誘導性の菌糸分岐反応が根の近傍で起こるのかどうか,明瞭な観察は得られなかった。しかしながら,根が存在しない場合には菌糸は直線的な伸長形態を示すのに対し,根存在下では,湾曲した形態を示す傾向があった。この反応が宿主認識反応であるのかどうか検討中である。
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Research Products
(1 results)