2007 Fiscal Year Annual Research Report
菌根菌と植物との共生相互作用における化学的制御機構の解明
Project/Area Number |
18380074
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
秋山 康紀 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 准教授 (20285307)
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Keywords | 菌根菌 / 共生 / 菌類 / 植物 / シグナル物質 |
Research Abstract |
ユーカリ(Eucalyptus viminalis)をリン酸栄養条件下で水耕栽培し、活性炭循環吸着法により根分泌物を回収した.吸着した根分泌物をアセトンで溶出した後、ストリゴラクトンが分配される酢酸エチル可溶中性物質画分を調製した.この画分をAM菌Gigaspora margaritaの胞子を用いたブランチングアッセイに供したところ、菌糸分岐が観察された.また、この画分をLC-MS/MS分析に供したところ、5-Deoxystrigol及びDidehydro-strigol異性体と考えられる新規ストリゴラクトンが確認され、ユーカリがAM菌菌糸分岐誘導物質を生産・分泌していることを示した. 一方、ECM菌におけるアッセイ系は未だ確立されていないため、アッセイ系の開発を試みた.ユーカリ実生を無菌条件下で、寒天プレート上で生育させ、別のプレートで生育させたコツブタケ(Pisolithus tinctorius)菌体をコルクボーラーで打ち抜き、ゲルブロックをユーカリの根近傍に置床した.その後、菌根形成にいたるまでの菌糸の形態変化について顕微鏡で観察したところ、根の近傍での菌糸分岐が観察された.次に、目的とする菌糸分岐形態を示すアッセイ系を確立するため、ユーカリ根近傍で示した菌糸の形態変化が誘導されるように培養条件及びサンプルを検討した.プレートで生育させたコツブタケの菌糸前方に根分泌物粗画分および分液抽出で分画したサンプルを染み込ませたペーパーディスクを置き、2%CO_2条件下で菌糸の形態変化を観察した.ユーカリ根分泌物酢酸エチル可溶中性物質画分で菌糸分岐が見られ、ユーカリの根分泌物の一つである5-deoxystrigolでは、菌糸分岐は誘導されなかった.
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