2008 Fiscal Year Annual Research Report
菌根菌と植物との共生相互作用における化学的制御機構の解明
Project/Area Number |
18380074
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
秋山 康紀 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 准教授 (20285307)
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Keywords | 菌根菌 / 共生 / 菌類 / 植物 / シグナル物質 |
Research Abstract |
昨年度に確立したコツブタケ(Pisolithus tinctorius)を用いた菌糸分岐アッセイにおける活性を指標にユーカリの根分泌物から外生菌根(ECM)菌菌糸分岐誘導物質の精製を試みた。精製原料として高リン酸栄養条件で水耕栽培したユーカリの水耕液を用いた。計600Lの水耕液から合成吸着担体であるXAD-7を用いた固相抽出法により根分泌物を回収した。得られた根分泌物を水にまで濃縮した後,酢酸エチル,水飽和ブタノールで順次溶媒抽出し,得られた抽出画分を菌糸分岐アッセイに供し,菌糸分岐誘導活性を評価したところ,いずれの画分にも活性は見られなかった。昨年度はユーカリの成育の遅さが研究遂行の障害となったことから,本年度はユーカリの健全な生育のためにリン酸栄養を十分に与えたのだが,それが逆に菌糸分岐誘導物質の低生産に結びついてしまったものと考えられた。 上記の実験と平行して菌糸分岐アッセイの改良にも取り組んだ。一応の確立を見たものの,本アッセイでは非処理のコントロール区で菌糸の自発的分岐が起こり,活性の判定を困難にしていた。この活性評価の判定の困難さを改善するために,ポジチブコントロールとして供することのできる物質の検討を行なった。フランスのグループからサイトカイニン類が菌糸の分岐成育に影響を与えるという報告がなされていたことから,我々の菌糸分岐アッセイ系でのサイトカイニン類の菌糸分岐誘導活性について検討してみた。トランスゼアチン,イソペンテニルアデニン,イソペンテニルアデニンリボシドをそれぞれアッセイに供したところトランスゼアチンが15μg/discで菌糸を湾曲状に生育させる効果があることが分かった。しかしながら,3ついずれも分岐誘導活性は示さなかった。
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