2009 Fiscal Year Annual Research Report
菌根菌と植物との共生相互作用における化学的制御機構の解明
Project/Area Number |
18380074
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
秋山 康紀 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 准教授 (20285307)
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Keywords | 菌根菌 / 共生 / 菌類 / 植物 / シグナル物質 |
Research Abstract |
昨年度に引き続きコツブタケ(Pisolithus tinctorius)を用いた菌糸分岐アッセイにおける活性を指標に、ユーカリ(Eucalyptus globulus)から外生菌根菌(ectomycorrhizal fungi, ECM菌)菌糸分岐誘導物質の精製を行なった。これまでは精製の出発原料となる根分泌物の採取は水耕栽培したユーカリの水耕液を用いていた。ユーカリ根における菌糸分岐誘導物質の生産・分泌は低リン酸栄養条件下で促進されるが、反対にユーカリの成育が損なわれ、ついには枯死してしまうので、昨年度はリン栄養が豊富な水耕栽培条件での活性物質の生産性について検討したが、活性物質はほとんど生産されないことが分かった。よって、本年度は水耕栽培ではなく、ユーカリ実生を水寒天培地で発芽・生育させ,培地に分泌される根分泌物を収集して、これを活性物質精製の出発原料とする方法の構築を試みた。また、根内にも活性物質が存在する可能性があるので、根抽出物の活性についても評価した。培地分泌物についてはユーカリ実生の成育が極めて遅く、活性評価に十分なサンプル量が得られなかったので調べることはできなかったが、根のメタノール抽出物については活性が検出された。このメタノール抽出物をメタノール-水系ステップワイズ溶出での逆相ODSカラムクロマトグラフィーに供したところ、50, 70%メタノール溶出区に活性が見られた。この活性フラクションをヘキサン-酢酸エチル系ステップワイズ溶出でのシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、得られた各フラクションについてアッセイを行なったところ、いずれの画分にも明瞭な菌糸分岐誘導は見られず、これ以上の活性物質の追求は困難であった。
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