2007 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体タンパク質フォールディング酵素ER-60のジーンターゲッティング解析
Project/Area Number |
18380079
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
裏出 令子 Kyoto University, 農学研究科, 准教授 (90167289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
裏出 良博 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究部長 (10201360)
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Keywords | ノックアウトマウス / ジーンターゲッティング / ER-60 / フォールディング / 小胞体 / 品質管理機構 / プロテインジスルフィドイソメラーゼ / 分子シャペロン |
Research Abstract |
本研究課題は、ER-60を個体及び細胞レベルで欠損させ、その必須性あるいは他のPDIファミリーとの重複性(redundancy)の有無及び生理的役割を解明することを目的としている。平成19年度は、平成18年度に作製した、Loxリコンビナントヘテロマウスからホモマウス(Lox/Lox)を作製した。肝臓特異的なノックアウトマウスを作製するために、アルブミンプロモーターをもつcre recombinantマウスを入手し、交配を行っている。ノックアウトマウスでの解析に先立ち、肥満モデルマウスでER-60の発現量が著しく低下していることを見出し、その低下の原因がインスリン抵抗性にある可能性を提示した。ER-60の発現低下は、肥満で生じる小胞体ストレスの悪化並びにインスリン抵抗性のさらなる増強となりうる現象である。本知見は、肝特異的ノックアウトマウスにおける脂質代謝及び糖代謝解析にあたっての基盤となる。脳でのER-60の生理作用の一つとして、アルツハイマー病との関連を想定している。この作業仮説を補強する研究成果を挙げた。すなわち、ER-60が脳ではアルツハイマー病において神経変性の原因とされるアミロイドβ(Aβ)が生成する神経細胞に高発現していること、及びアルツハイマー病モデルマウスの大脳に発生した老人斑にER-60がAβと共存していることを見出した。Aβ線維化のin vitroモデル系を用いて、ER-60が強力なAβ線維化阻害活性及び線維化Aβの部分的な解離活性を有することを見出した。さらに、ER-60はER-60のb及びb'ドメイン領域に1分子のAβをN末端28アミノ酸残基領域を認識して結合することにより、Aβの線維化を阻害することを明らかにした。これらの知見を踏まえて、ノックアウトマウスを用いた研究を展開する予定である。
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Research Products
(3 results)