2007 Fiscal Year Annual Research Report
森林生態系における大型植食者による生物多様性維持機構の実験的解明
Project/Area Number |
18380086
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
揚妻 直樹 Hokkaido University, 北方生物園ファールド科学センター, 准教授 (60285690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日浦 勉 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70250496)
宮本 敏澄 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (00343012)
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Keywords | 大型植食動物 / 採食圧 / 植物生産性 / 生物間相互作用 / 森林生熊系 / 生産者 / 消費者 / 分解者 |
Research Abstract |
2007年度も北大苫小牧研究林内の約25haのミズナラ林においてシカ密度と林床植物の生産性を操作する実験系を維持した。シカの密度は柵を用いて高密度区(約20/km^2)・低密度区(約5-10/km^2)・排除区(0/km^2)の3段階、植物生産性は施肥(窒素添加)と択伐伐採(光条件が好転)の2つの方法で行った。そして、3つのシカ密度操作ごとに4つの処理区(施肥、伐採、施肥伐採+無処理)を2〜4反復させた。 2007年度も引き続き、各処理区において林床植物を対象に調査を行った。その結果、シカ密度が林床植物の種数を減少させてはいないことが示された、一方、伐採処理では種数が増加し、逆に施肥処理では種数が減少していた。ただし、シカ密度の増加に伴い開花率が下がっている種もあった。このことから、長期的にはシカが高密度で維持されることで特定種の死亡率の増加および繁殖率の低下をもたらして、植物種組成が変化する可能性が予想された。 ミズナラ落葉、シカ糞、ミズナラ落葉+シカ糞およびミズナラ落葉+素焼き製の偽シカ糞をそれぞれナイロン製リターバッグに封入し、シカを排除した柵内の林床に設置した。これらを定期的に回収し、分解者である菌類とバクテリアの調査を行った。DGGEによって微生物群集の比較を行うために、回収後の落葉および糞からDNAを抽出した後、真菌類、担子菌類、バクテリアのそれぞれに特異的なGCクランプ付きのプライマーでPCRによるDNAの増幅を行った。 生態系エンジニアとして注目されているミミズ類の生物量を各処理区において調査した。その結果、ミミズ類の生物量はシカ密度や施肥の影響は受けていないものの、伐採操作によって有意に減少していた。伐採区では落葉量が少なかったため、ミミズにとっての餌供給量が少なく、ミミズ量も減少したものと考えられた。
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Research Products
(5 results)