2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18380087
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 克己 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (80211895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 裕樹 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (90401182)
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Keywords | 環境 / 植物 / ストレス / 生体分子 / 林学 / 炭素代謝 / 樹木 / 造林 |
Research Abstract |
Melaleuca cajuputiを材料として、有機酸とアミノ酸の抽出・精製法とガスクロマトグラフによる定量法、解糖系の微量な代謝中間体の抽出・精製法と定量法(酵素サイクル法)、TCA回路の主要な酵素の抽出・精製法と活性の測定法を確立した。さらに低酸素ストレスに対する根の代謝制御を解析した。まず根圏への窒素通気により低酸素ストレスを負荷する栽培実験系を確立し、M.cajuputiの成長が阻害されないことを確かめた。同栽培系で成長が阻害されたEucalyptus cmaldulensisを比較種として用いた。E.cmaldulensisでは、低酸素ストレスによって根のエネルギー状態が悪化したが、M.cajuputiでは良好に保たれた。E.cmaldulensisの根では、悪化したエネルギー状態が培地へのグルコース添加によって回復したことや、スクロース(Suc)蓄積を伴うSuc分解酵素の活性の低下があったことなどから、基質供給の減少によりエネルギー代謝が制限されたことが示唆された。一方、M.cajuputiでは低酸素ストレス下でSuc分解酵素の活性を維持し、Suc蓄積がなかったことから、エネルギー代謝への基質供給が十分であったと考えられる。^<13>CO_2パルスラベルにより根への光合成産物の転流を解析したところ、E.cmaldulensisでは阻害されたが、M.cajuputiでは阻害されなかった。この種間差は根にSucが蓄積することによる葉からの転流のフィードバック阻害を回避できるかどうかの違いによると考えられる。解糖系の主要な酵素は両樹種で低酸素ストレスにより阻害されず、M.cajuputiではいくつかの酵素の活性がむしろ誘導された。今後、このような変化を伴った代謝制御の詳細を解析するために、一次代謝関連の代謝物の定量と酵素活性の測定を進める。
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Research Products
(1 results)