2006 Fiscal Year Annual Research Report
野生アカネズミを生物指標として用いたダイオキシンによる内分泌攪乱作用の影響評価
Project/Area Number |
18380089
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関島 恒夫 新潟大学, 自然科学系, 助教授 (10300964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
十川 和博 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (80175421)
小原 良孝 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (90003673)
星 信彦 神戸大学, 農学部, 教授 (10209223)
高橋 敬雄 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70134955)
酒井 美月 新潟大学, 自然科学研究科, 客員助手 (50418688)
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Keywords | ダイオキシン / アカネズミ / AhR / 暴露実験 / 染色体異常 / CYP1A1 |
Research Abstract |
1.アカネズミAhRの構造解析と機能解析 アカネズミ64個体を用いて解析されたダイオキシン受容体(AhR)遺伝子は、塩基置換が71ヶ所、内27ヶ所の同義置換によって25ヶ所でアミノ酸置換が見られた。転写活性化領域のQリピートは8から23リピートと変異に富んでいた。機能評価では、転写活性化領域の799番目のアミノ酸QからRへの置換でタンパク質の活性が有意に低下した。799番目のアミノ酸をマーカーとして野外個体群の遺伝子頻度の調査へと展開するために、アカネズミの尾を用いた簡便な多型検出法を構築した。 2.アカネズミ染色体構造に対するダイオキシン暴露の影響 2005・2006年の長岡サンプル計27個体及び白神(Control)サンプル25個体の骨髄細胞での染色体分析から、50細胞当たりの染色体切断(Breaks)がそれぞれ0.588±0.173、0.120±0.067が検出され、長岡サンプルが有為に高い(P<0.05)切断頻度を示した。肺臓細胞の培養系では長岡サンプル12個体、白神サンプル15個体を用いてSister Chromatid Exchange(SCE)を分析できたが、1細胞当たりのSCE数はそれぞれ8.585±0.337、6.481±0.200でSCE頻度も長岡サンプルが有意に高い(P<0.001)値を示した。 3.アカネズミに対するダイオキシンの暴露 本実験を行うにあたり,TCDDに対するアカネズミの感受性を評価するため,6種の濃度のTCDDを経口投与した.投与期間中は,濃度を一定に保持するため,初回単回投与後,TCDDの半減期を考慮したうえで,その1/5量および2/5量のTCDDを精子形成期間である計6週にわたり維持投与した.投与期間中,体重の顕著な変化および行動異常はみられなかった.また,精巣,精巣上体および肝臓の相対重量にも有意な変化はみられなかった.しかし,最大投与濃度群(初回2000ng/kg,維持400ng/kg投与群)の肝臓HE染色像では,小葉中心性の肝細胞肥大および肝細胞質のエオジン染色性の低下が認められた.さらに,TCDDの感受性評価の指標として,薬物代謝酵素であるCYP1A1を用いて,肝臓の免疫染色を行ったところ,最大投与濃度群のみで顕著な陽性反応がみられた.今後は,この最大投与濃度のTCDDを投与し,本実験を進めていく予定である.
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