2006 Fiscal Year Annual Research Report
フルレンジ・スケーリングにおける根を含む樹木個体呼吸の一般化
Project/Area Number |
18380098
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
森 茂太 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, グループ長 (60353885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 秋男 琉球大学, 理学部, 教授 (90126889)
山路 恵子 筑波大学, 生命環境科学研究科, 講師 (00420076)
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Keywords | 個体呼吸 / 根系呼吸 / metabolic scaling |
Research Abstract |
初年度は予定通り、樹木個体呼吸の測定方法および、小型実生の呼吸に影響する微生物要因の検討を中心に行った。樹木個体呼吸測定にもちいる樹木個体の重量幅は数ミリグラムから数トンあるため、個体全体の呼吸を測定するために個体サイズに応じた15サイズ以上のチャンバーサイズを準備する必要があることが明らかとなった。また、十分にチャンバー内のCO2濃度を均一にするためダクトを装備したDCファンを使った。その結果、内部の温度が上昇することなく、チャンバー内の撹拌が十分に行われている状況を小型風速計で確認することができた。小型実生の呼吸制御要因として、根内部の微生物が重要と予測しており、同じ生育条件下で内生菌に感染した個体と無感染の個体を準備することができた。さらに、こうした微生物と植物の関係は光条件により変化することが考えられるため、光環境と微生物の2要因が個体呼吸に与える影響を評価できるモデル系を作ることができた。従来、根の掘り出しには多くの時間と労力がかかるため、成木の根呼吸に関する研究は極めて限られていたが、独自に工夫した根の掘り出し方法により効率的に、無傷で地面から取り出すことができた。このように本年度は、予想よりも多くの個体の呼吸速度を測定することができた。合計個体総数は200個体を超え、測定した個体重量幅もフルレンジ・スケーリングである10億倍に達した。以上のように本研究は概ね順調に進捗している。また、2007年2月1日のネイチャーには数学モデル、および樹体の一部の呼吸測定からの推定、などにより樹木個体呼吸と個体重量の関係が議論されている。本研究はこうした論争に対して、実測値からブレクスルーとなる確信的な結論を出せると考えている。
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