2006 Fiscal Year Annual Research Report
樹木細胞壁の二次壁構造を模倣したセルロース材料の創製
Project/Area Number |
18380100
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浦木 康光 北海道大学, 大学院農学研究院, 助教授 (90193961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 卓郎 北海道大学, 大学院農学研究院, 教授 (20173205)
杉山 淳司 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (40183842)
玉井 裕 北海道大学, 大学院農学研究院, 助教授 (50281796)
岸本 崇生 北海道大学, 大学院農学研究院, 助手 (60312394)
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Keywords | 二次壁 / 樹木模倣材料 / 酢酸菌 / セルロース / 引っ張り試験 / メソスコピックパターン |
Research Abstract |
本研究は、樹木中で細胞の原形質が配列している状態を模倣した高分子材料を鋳型として作成し、その鋳型の周りにセルロースを人為的に堆積させることで、樹木二次壁の模倣材料の創製を目的としている。そこで、本年度は、鋳型の作成と、微小セルロース材料の力学特性を測定する機器の開発を行った。 鋳型は二種の方法を検討した。一つは、木材の小片に粘稠なシリコン系ポリマーを流入し、硬化後、生成したエラストマーを小片から引き剥き鋳型を作成する方法である。この方法では、木材の空洞化した細胞の形態をよく反映した鋳型が作成できたが、長さが5mm程度であり、セルロースを堆積させるための酢酸菌の培養には、不適であった。そこで、第二の方法として、長い合成繊維を等間隔で巻き取る装置を試作して、酢酸菌の培養を試みた。この鋳型を用いると、任意な角度で培養が可能であったが、鋳型の内部まで菌の侵入が見られず、鋳型の極表面にしかセルロースが堆積しなかった。この理由は合成繊維を用いた結果と考えられるので、現在繊維表面を菌体に適合するよう改質を試みている。 上記の方法で得られるセルロース材料は1cm^2程度のものであり、従来の強度試験機では、力学特性の評価に支障を来たす。そこで、本年度は微小な薄膜でも引っ張り強度が測定できる試験機を設計・試作した。この機器は、歪を測定するために、マイクロメーターとCCDカメラが附置されている。それにより、破壊過程をリアルタイムにモニターすることができ、さらに、微小なロードセルを用いることで、従来の機器より2桁程度小さな応力でも測定可能となった。この機器を用いることで、薄膜のセルロースは、ブロック状のセルロースとは異なる力学特性を発現することが見出された。現在、多孔質膜の引っ張り強度試験を行い、空洞と膜厚との関係を精査中である。
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Research Products
(6 results)