2007 Fiscal Year Annual Research Report
樹木細胞壁の二次壁構造を模倣したセルロース材料の創製
Project/Area Number |
18380100
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浦木 康光 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 准教授 (90193961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 卓郎 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (20173205)
杉山 淳司 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (40183842)
玉井 裕 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (50281796)
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Keywords | 人工細胞壁 / 二次壁模倣モデル / リグニンの耐水性 / ハニカムパターン化セルロース / 引張試験 / SEM-EDX |
Research Abstract |
当該年度は、昨年度作成した微小サンプル用引張試験機を用いて、人工細胞壁骨格となるハニカムパターン化セルロースフィルムの力学特性について検討した。その結果、引張強度はハニカムの孔径と負相関があることが示され、フィルムの強度はセルロース量に依存することが明らかとなった。 より樹木細胞壁に近いモデルとして、前述のセルロースに単離リグニンを吸着させて、構成成分模倣人工細胞壁を調製した。この材料の引張強度を、常温低湿度と高温高湿度条件で測定した。その結果、リグニンがセルロースに耐水性を付与して、高温高湿度におけるセルロースの力学強度低下を抑制することが示唆され、従来から言われていたリグニンの樹木中での機能を証明するに至った。しかし、ハニカム状の孔を持たない平滑セルロースフィルムでは、リグニンの吸着効果は観測されなかった。SEM-EDX測定から、リグニンはフィルム表面のみに吸着することが示され、平滑フィルムでは、非晶性のリグニンはフィルムの肥厚のみに働き、セルロースへの強度付与に寄与しないことが示された。 また、樹木二次壁のセルロースミクロフィブリル傾角を模倣した人工二次壁を創製する条件設定として、2種の機器を製作した。一つは、細径の合成繊維を細胞内腔模倣鋳型とするセルロース産生菌培養装置で、他方は、細径ガラス管を鋳型とする培養装置である。この2種を用いて培養を試みた結果、合成繊維はセルロース産生菌の接近を妨げ目的とする培養は行えなかったが、ガラス管は菌との親和性が高く、円筒状の孔が配列したセルロースフィルムが得られた。
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Research Products
(14 results)