2007 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースおよびその誘導体を用いた燃料電池電解質膜の構築
Project/Area Number |
18380105
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
巽 大輔 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 准教授 (60293908)
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Keywords | 燃料電池 / セルロース / 電解質膜 / 複合化 / イオン伝導率 / ゲル / 架橋 |
Research Abstract |
昨年度の研究において、バクテリアセルロース(BC)フィルムが熱やラジカル耐性に優れ、高い力学強度を有することから燃料電池電解質膜に適した素材であることを明らかにした。そこで、本年度は、BCフィルムのイオン伝導性の向上を目的に、カルボキシメチルセルロース(CMC)のゲルを複合化したCMCBCフィルムを調製し、力学特性およびイオン電導率を調べた。 BCフィルムは静置培養ゲル状膜を100℃にて乾燥させて調製した。CMCゲルは、CMCを1N NaOHに溶解したCMC/NaOHに架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDE)を混合することで調製した。力学特性は、引っ張り試験および動的粘弾性測定によって試料の引張強度および弾性率を調べることで評価した。また、イオン伝導率は交流インピーダンス測定によって求めた。 これらの測定の結果、BCフィルムの引張強度、弾性率、およびイオン伝導率はそれぞれ106MPa、16GPa、および3.8μScm^<-1>であったが、20%CMC/NaOHより調製されたCMCBCフィルムのそれは、72MPa、8.2GPa、および43μScm^<-1>であった。すなわち、CMCBCフィルムの引張強度および弾性率はBCフィルムのおよそ半分であったが、イオン伝導率に関してはBCフィルムより一桁大きい値を示した。また、CMCBCフィルムの力学強度はCMCゲルよりも5倍以上大きかった。以上の結果から、BCフィルムにCMCゲルを複合化することによって、BCフィルム本来の力学強度を活かしつつイオン伝導性を向上させることに成功したといえる。
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Research Products
(5 results)