2009 Fiscal Year Annual Research Report
多層カーボンナノチューブを有する木質系炭素材料からの新規リチウムイオン電池の開発
Project/Area Number |
18380107
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畑 俊充 Kyoto University, 生存圏研究所, 講師 (10243099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 祐嗣 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (70151686)
上田 義勝 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (90362417)
大澤 幸造 長野工業高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (10176860)
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Keywords | 原子状酸素 / 耐酸化性 / 木質炭素化物 / カーボンナノチューブ / リチウムイオン電池 / 電気化学的性質 |
Research Abstract |
本研究は、木質炭素とカーボンナノチューブ・ナノフィラメントリチウムイオン二次電池用炭素負極材料を開発し、木材の高付加価値化をめざすことを目的とする。さらなる高容量化とサイクル寿命の向上を図るため、本年度はSiをドープして炭素複合負極材料を合成する研究を行った。Siと木材より分離されたオルガノソルブリグニンの混合粉末から、通電加熱法を用いて高圧下でSi/木質炭素負極用材料合成し,LiのドープによるSiの変形を抑えつつ,木質からメタルフリーの大容量LIB負極材料を作製し電気化学的性質を評価した。オルガノソルブリグニンを炭素化し,ケイ素と混合したあと焼結,ケイ素/炭素材料を作成し耐酸化特性を評価した。さらに、オルガノソルブリグニンから木質炭素化物(昇温速度4℃/minで,反応温度700℃、反応時間1時間)にグラファイトと10wt%のSiを加えた混合粉末にパルス通電加熱処理を施し、1050℃、反応時間15min、50MPaの条件で焼結を行って直径10mm,厚さ0.01mmの試験体を得、分析を行った。最後に、電解液1mol/LiPF6,EC/DEC=1:1の組み合わせで2電極セルー金属リチウムセルを作製し、0.1Cレート・測定電位幅5mV-2Vの条件で充放電試験を実施した。従来の方法では充放電が繰り返されるたびにSiの膨張・分解が生じ電気容量が低下するが、本研究の手法では,木質炭素の保護膜によりSiの分解を防ぎ、Grにより電子イオンの移動がスムーズになりサイクル寿命も向上する。X線回折から本合成方法ではサンプル内にsiのピークが現れた。si10%、木質炭素90%含むLIB負極材料を作製して充放電特性を調べた結果、グラファイトを含まない条件で420mAh/gの可逆容量を得ることができた。木質炭素とSi、カーボンナノチューブ・ナノフィラメントの最適な組み合わせにより、より高性能なリチウムイオン二次電池用炭素負極材料の開発が可能となるであろう。
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